DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

クライミングで登ってスキーで滑って降りる、一粒で二度美味しいClimb & Glide。
今回は谷川岳東尾根をクライミング、熊穴沢から西黒沢のラインを滑る周回コースでトライ。
登りも下りも合理性のあるラインで、どちらのアクティビティも充実の山行を楽しめた。

【山行日】2017年2月25日・26日

トレードオフの関係にある、安全性と軽量化のバランスをどこでとるか。
スキーとクライミングのギア、フルには持って行けない。さらに、泊まりになる可能性も今回は考慮しなくてはならない。
ロープは45m一本、プロテクションはスリングとカラビナのみ。ビバーク装備はシュラフカバーとツエルト、小さなガスとバーナー一つに絞り込んだ。極力日帰りで抜ける気満々でロープウェイ駅を5時半過ぎに出発。結果としてちょっと遅すぎたか。

アプローチは一ノ倉沢から。降雪も少なく、気温は低めで晴天。壁のコンディションは良好だろう。多くのクライマーでにぎわっていた。

一ノ沢を詰めてシンセンのコルへ。

コルから実質の登攀開始。一名単独の先行者がいたが、取るルートがだいぶ違うようで、トレースはほとんど重ならなかった

序盤はノーロープでどんどん登る。振り返ると素晴らしいロケーション。

ノーロープでは微妙な感じになってきたので、ロープを結んでスタカットとコンテを併用しながら進む。先に見えている岩場が意外と悪く、適切な判断だった。

次第にガスってきた。この先、巨大化する雪庇を避けながら登らなくてはならないので、ホワイトアウトになるのは避けたいところだが・・・。

第二岩壁と思われる雪壁を越えて行く。軽量化のためスノーバーを省略してしまったのをちょっと後悔。

時々、ぱっと晴れ間が広がり、素晴らしいところを登っているのがわかる。と同時に、雪庇の端に思ったより近づいていることにも気づき、肝を冷やすことも。

この雪壁は体感90度くらいに感じた。ノートレースでのリードはかなり怖い。この手前で先行していた単独後者がかなり難儀していたので、そのまま吸収し、トレースを使ってもらうことにした。

第一岩壁っぽいところの雪壁。真っ白で近づくまで斜度もルートもさっぱりわからず、ルートファインディングを誤り右に寄りすぎてしまう。

第一岩壁を過ぎたところで、タイミング良く青空が広がった。まず、小さなハングを突き崩して越えると、おそらく頂上稜線の雪庇と思われる大きくハングした雪壁が立ちふさがった。
ここは空身での土木工事でルート工作し、荷揚げをして突破する。

登りつめた先はぴったりオキの耳だ。しかし、時間は既に16時半。
2月のノートレースの雪稜、思ったより時間がかかってしまった。本日中の下山は難しいか。

降りようと思えば降りられた時間かもしれないが、既に雪面はカチカチになりつつあった。スキーを楽しむことも今回の目的であるので、肩の小屋で一泊することにしよう。
温かい食事は持ってきていなかったので、単独行の人も交えてひたすらお湯で宴会。
シュラフカバーとツエルトしかなかったけど、小屋がある分全然マシで、思ったよりは寝ることができた。

翌日は雪が緩むのを待って10時過ぎにゆっくり出発。
出だしはガスで真っ白。慎重に方向を定めて天神尾根沿いに下る。

標高1600m程度まで下げると、だいぶ視界も広がった。尾根を外れて熊穴沢にドロップ。

雪は重めだが、悪くない。

西黒沢の悪雪に足がパンパンになりつつも、ロープウエイ駅まであっさり一時間ちょっとで降りることができた。

 

 

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