DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: finetrack編集者

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バックストーリー

2017年2月より販売をスタートした「オールウォッシュ」。
「なんでアウトドアウエアメーカーが洗剤を?」と、驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
じつは「オールウォッシュ」の開発者・田中は、finetrack唯一のリケジョ。洗剤開発と聞くと化学畑のイメージですが、田中は生物学出身なんです。そんな彼女がどういう経緯で「オールウォッシュ」を開発することになったのでしょうか。

皮脂汚れや泥汚れが付けられた汚染布を用いて、洗剤の処方を変えながら洗浄力を試験する。気の遠くなる作業だ。

――オールウォッシュ開発の“野望”はいつから?

山へ頻繁に行くようになったのは大学生のころから。昆虫生態学という、ちょっとだけマイナーな学問を専攻していました。研究のために昆虫を追いかけて山籠もりする日々。毎日が藪漕ぎで、毎日が泥だらけ。そのころからアウトドア洗剤を使用していましたが、もっと良い製品はないかなぁ、と思っていました。

――学生時代から既存のアウトドア洗剤に不満を抱いていたんですね。

なんとなく汚れが落ちにくい気がしていたし、なんせ高いじゃないですか。貧乏学生にとっては痛い出費ですよ。でも、大切なウエアだから専用洗剤じゃないと不安で、仕方なく既存のものを使ってたんですよね。
大学院卒業後に就職したのがある日用品メーカー。そこでは洗剤をはじめとして、多種にわたる日用品の研究開発を行いました。元々生物学専攻なので苦労はしましたが、業務をこなしていく中で化学的知識も増えていきました。

――そのころに本格的な登山をはじめたと聞きましたが。

そうですね。社会人になってからは研究として山を歩くことがなくなり、代わりに趣味として登山をはじめました。その当時からfinetrackの商品は面白いなぁと思っていて。仕事が終われば、頻繁にアウトドアショップに立ち寄って、店内をチェック。でも、アウトドア洗剤のラインナップは私が学生のころと変わりなく…。
「アウトドア洗剤のニーズは絶対にあるはず。それを日本のアウトドアメーカーから国内生産でつくることができたら、きっと面白いぞ!」
そんな野望を抱いてfinetrackに転職し、洗剤を開発したのです。

――オールウォッシュの開発以外にはどんな業務に携わっているのでしょうか。

Carefineシリーズの開発をメインとして、テキスタイル開発、撥水復活サービスのシステム作り、カスタマーサービスにお問い合わせのあったお手入れに関する相談、機能性試験の設計・実施 etc…に携わっています。

――デスクにも棚にも、実験用の器具や薬剤がいっぱい並んでいますね。

社内に理系の方が少ないので、試験が必要な案件はほぼ全て私が関わっています。新製品の機能を確認する際や不具合の原因を探るときには、大抵お声がかかります。
といっても、finetrack神戸事務所には実験設備がありません。自分の机の上や、給湯室で黙々と実験を行っています。オールウォッシュの処方を作成するために、様々な原料を調合して実験を行ったのも給湯室。おかげで社内でも「変わったヤツだなぁ」と思われているのではないでしょうか。

この日も給湯室でひとり黙々と実験を行っていた。

――いえいえ、仕事では頼れる技術者なイメージです。むしろ「変わったヤツ」という評判の原因は、山行スタイルにあると思うのですが…

そ、それはもしや「居酒屋山行」のことでしょうか。マーケティング課の中山さんとよく一緒に山に行くのですが、社内では「居酒屋山行コンビ」として有名です。お酒(山域の地酒、かつ純米日本酒。これタイセツ!)を担ぎ上げるために、クッキングツール以外の装備をとことん軽量化する、こだわりのスタイル。テントで酒盛りして、翌朝は寝坊する…というのがお決まりです。

――いつものんびり、山歩きと酒盛りを楽しんでいますよね。

でも、たまには長距離縦走したりして、本気を見せることもあるのですよ。去年の夏は南アルプスを5日間ぐるっと縦走しました。子供のころから山の中を歩くこと自体が大好きなので、長い期間をかけて縦走するもよし、日帰りピストンするもよし。その目的がお酒なのもまたよし。沢・岩・スキーもちょっとだけするのですが、やはり「歩き」が一番好きですね。

――大好きな歩きのお供として、おススメのfinetrackアイテムはなんですか?

カミナドームです。あの軽さ、あの居住空間の広さは今までにない快適性です。4シーズンで使用しています。

――それはもしや酒盛りを快適に行うために欠かせない宴会場だからじゃないですか? 田中さんって山ではお酒のことばっかり考えてるんじゃ…。

なんてことを言うんですか。お酒のことも考えるけど、山ではコースの状況や天気のことなども、注意深く観察してますよ! やっぱり生物が好きなので、生き物のこともけっこう観察しながら歩きます。それ以外には、やたらと「におい」を嗅ぎますね。山の中って、匂いの変化が目まぐるしいじゃないですか。木の匂いや、水や、人や、獣や、トイレや…。前職では芳香剤開発も行っていたからか、匂いに敏感なんだと思います。

――それって、今後のCarefineシリーズの展開に繋がったりします?

いえいえ、それについては具体的にはお話しできませんよ~? 言えることといえば、ただのケア用品ではなく、アウトドアをより快適にする商品を展開していく予定です。
ウエアの「あの機能」をアップさせるものや、山中での「あの問題」を解決するものや…。
ぜひ、今後の製品ラインナップにご期待ください。

――楽しみですね! では最後に、これを読んでくださっているみなさまに一言お願いします!

いつもさりげなく使っている洗剤ですが、洗剤の種類によっては、高機能ウエアの機能を落としている事があります。オールウォッシュをきっかけにホームケアについて調べていただいて、快適にアウトドアを楽しんでいただければ、開発者としてとても嬉しいです。

登山中は生物を観察したり、匂いを嗅ぎまわったり…。独自の観察眼で山を歩いているようだ。

学生時代、毎日泥んこになって山の中を歩き続けた田中が、自らの野望をカタチにしたオールウォッシュ。どんな洗剤なのかは、下記リンクよりご覧いただけます。ちなみに、田中の宴会場であるカミナドームも、オールウォッシュで洗うことができますよ!

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■ オールウォッシュで靴、テントの汚れを取る方法 (よくあるご質問)

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