DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

マルチアクティビティプレイヤー: 丹羽 薫

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中国の山々を走り、あらためて「体験すること」の大切さを感じました。
自分の肌で感じ、見聞きした中国は、勝手にイメージをつくりあげていた中国とはまったく違っていたのです。

初めての中国訪問の目的は、南部の浙江省で行われたUTGK(Ultimate Trail TsaiGu kouguon)への出場です。
100kmのレースに出て、広大な中国の自然に触れることができました。

なかでも印象的だったのが竹林です。

いま住んでいる京都も竹が多いんですが、どれだけ走ってもずっと竹林が続いているようでした。伸びきったタケノコがトレイルの脇に生えていたり、通せんぼするように道の真ん中に顔を出していたり。整備された日本の里山ではあまり見かけない光景が広がっていました。

ゴツゴツした岩肌に覆われた急坂が連続していたかと思えば、うわー、あそこまで見えちゃうんだ、というくらいに遠くまで見渡せる、とても走りやすい稜線もありました。

森林限界が意外と低くて標高1,000mでしたので、とても眺望がよく、画になる風景がいっぱい。

レース後半に差しかかるところで、稜線にいくつもの巨大な風車が並ぶ区間がありました。事前のコース下見では霧で見られなかったこともあり、風を受けて回っている光景が目に飛び込んできたときは感動的でした。

(後ろのパネルにあるのが、巨大な風車が並ぶ圧巻の稜線!)

丸太を2、3本つなげただけの橋で川を渡ったり、急峻な登りの後に、見たこともないくらい段の幅が狭く密集した段々畑が広がっていたり、コースのバリエーションが豊かで全然飽きることがありませんでした。

こんな城壁もコースの一部でした。日本ではまず走らせてもらえません。

単調なところがなくて、楽しんでいるうちに「あ、もうちょっとだ!」という感覚です。ロードをまったく挟まないコース設定は、トレイルレースってこうあるべきと感じましたし、中国のほかのレースにもっと出てみたい気持ちになりました。

細いシングルトラックのトレイルでは、渋滞することもなく、みんなが道を譲ってくれました。京都で見ていた中国の方々は、道いっぱいに広がって歩いたり、大声で話したりとマナーがあまりよくない印象でした。それがトレイルでは、道から横にそれて中国語で頑張れという意味の「加油」と声をかけてくれるのです。そこで、感じました。あれ、私の思っていた中国と違うなって。

そうそう、違うといえば、今回の大会では現地の山岳会の人たちがボランティアスタッフをされていました。日本だと、トレイルランナーとちょっと垣根がありますが、中国ではそんなことがないようです。奥深い山の中で、コース誘導やランナーのサポートをする姿がとても楽しそう。
山や自然が誰の物でもなく、みんなの共有財産という意識が自然にあるのでしょう。ランナーも登山者も団結できるというのは、大きな力になるはずですし、日本が見習わなければならない所だと思いました。

今回の滞在で中国の人や山に対する印象がすごく変わりました。
こうしてトレイルランニングという競技を通じて、お互いの抱いている誤解や思い込みが解消されていくのは、素晴らしいことだと思いますし、みなさんにも機会があれば、是非中国や色々な国のレースに参加したり山を走って、実際に自分の目で見て、感じて欲しいと思いました。

今回暖かく迎えてくださった現地の方々に非常に感謝するとともに、こういった機会を与えてくださった方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

また来年も中国の山を走ってみたい!
いままで先入観を持って近づかなかった国にも行ってみたい!
そんな気持ちにさせてくれた、素敵な遠征でした。

マルチアクティビティプレイヤー
丹羽 薫

国内外の大自然と会話をしながら、マウンテンランニング・登山・バックカントリースキーと、その瞬間のベストな遊びで「完全な自由」を探求するマルチアクティビティプレイヤー。
その活動は同性から高い支持を集める。
また自他共に認める愛犬家の一面も。

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