DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

お盆休みは自転車と登山を組み合わせた、日本横断にトライした。
使用したのは折り畳み自転車。最近の折り畳み自転車の性能はなかなかのもので、たためばザックに収まり、重量7㎏台ながら、まずまずの走行性能を誇る。もっとも変速付きへの改造と、タイヤのオフロード向けの変更だけは行った。
この自転車を使えば、乗れるところは乗り、それ以外はザックに入れて歩くといった今までにないスタイルの旅ができるかもしれない。描いたルートは、日本海側の富山から太平洋に抜けつつ、富士山、北岳、奥穂という日本の標高1,2,3位のピークと、木曽駒ヶ岳も加えて北・中央・南アルプスの最高峰をすべて踏むをプラン。
すべて人力、生活道具一切を持ち、ピストンなしのワンウェイルートだ。
自転車走行合計360km、歩行合計100km。これを10日間で走破できるか?
【アクティビティ日】2017年8月11日~19日

■8/11 富山湾の岩瀬浜海水浴場~新穂高~穂高平小屋テント場
前夜発での移動が遅れてで、ゆっくり目のスタートになった。

自転車区間はこのスタイル。改めてみると14インチって小さいな~。
この日は炎天下。95㎞、1000mアップをミニベロでこなすのはなかなか厳しい。初日からかなり消耗し、穂高平小屋のテン場に着いたのは19時を回っていた。

■8/12 穂高平テン場~白出沢経由奥穂高岳~岳沢経由上高地
この日は一気に最初の山、奥穂高岳を越えて上高地まで行きたい。最短の白出沢ルートを取ったが、コースタイムは15時間超。このスタイルでは、コースタイムをちょっと切る程度のスピードしか出せないので、うまくいっても日没ギリギリだ。

古いミッドカットのトレイルランニングシューズで来たところ、なんと登り途中でソールの崩壊が始まった。ガムテで押さえながら、ごまかし登る。

奥穂高岳山頂。なんとタイミングよく、北アルプス全山縦走中のスタッフ岩井と小谷部に遭遇。
岳沢経由の下山はなかなか足にきた。この日もなんとかヘッデンを使うことなく小梨平のキャンプ場にたどり着いた。

■8/13 上高地~木曽駒ヶ岳福島Bコース登山口
上高地から梓湖まで一気に下り、木曽側に抜けて中央アルプスの登山口までの54㎞のルート。堺峠の500mアップがしんどいが、全体としては楽な日だった。

崩壊した靴の代わりに木曽福島のホームセンターで物色するも、950円くらいのスニーカー以外は、安全靴と長靴しかない。仕方ないので、このスニーカーでこの先の行程をこなすことにした。時間もあるので最後のスキー場の登りをのんびりとこなして、登山口で泊。

■8/14 木曽駒ヶ岳福島Bコース登山口~木曽駒ヶ岳~伊奈前岳~伊勢滝前林道終点~黒川林道~駒ヶ根キャンプ場

あわよくば、今日中に中央アルプスを越えて戸台まで入ってしまおうと目論んで、4:30にヘッデンをつけてスタート
この山を下から登る人は少ないのだろう。木曽側からの登山等は実に静か。初日、二日目の疲れがこのタイミングでどっと来て二人とも体が非常に重い。

 

7時間半の登りで山頂到着。木曽福島側の登山道とは打って変わっての賑わい方だ。ロープウェイ一本の影響は大きい。

伊奈側のルートは完全に観光地。僕らは下りも当然人力だけど、ロープウェイの起点に降りてしまっては自転車も使えない。
そこで伊奈前岳を経由して、うどんや峠を経由し、黒川林道側に降りるルートを取ることにする。
行ってみてわかったが、この道はかつて木曽駒ヶ岳登拝の主要道だったことを思わせる古い石碑や遺構があちこちに見られて面白い。「うどんや峠」にも、もしかしてうどんやがあったりしたのかな?などと思いを馳せながら歩く。

ところが、黒川沿いに降りる点線の登山道が完全に廃道で、コースタイムの3倍くらいかかって焦る。さらに雨まで降り始めた。

雨の中、そそくさと登山装備から自転車装備に。だいぶ切り替えも早くなってきた。

その後は10km、標高差1000mの林道ダウンヒル。小径車でも意外とイケるが、このホイールサイズでは頻繁に切ってある溝がどうにもならないのがストレスだ。舗装道に出た時は毎度おなじみのヘッデンギリギリ。とても戸台まで行くどころではなかった。近くのソースかつ丼屋に駆け込み、駒ヶ根のキャンプ場泊とした。

■8/15 駒ヶ根キャンプ場~戸台大橋~北沢峠長衛荘前テン場
朝から雨の(そして一日ずっと降り続くことになる)憂鬱な天気だ。
さて、これから南アルプスエリア。ここが悩ましいのは、広い山域で林道が発達しているにもかかわらず、自転車の使用が禁止で使えないことだ。
とりあえずは、戸台までの38kmを走り、その先は押して歩くか、それでもダメならすべてザックに入れて歩くしかない。

が、やはり自転車は押してもダメだということが判明。雨の中、両俣までの28kmほどをすべて背負っていくことになった。
雨に一日打たれて歩き、北沢峠で心が折れた。この日は長衛荘のテン場泊まりにしよう。

■8/16 北沢峠長衛荘前テン場~両俣小屋~北岳~広河原
この日もひたすら雨。両俣小屋では雨で停滞中のfinetrackスタッフの田中と中山に遭遇。臨時のエイドを開いてもらった。感謝!そこで、行く予定の北岳への登山道が、荒廃して点線ルートになっていることを聞く。雨の中、停滞の誘惑にとらわれるが、翌日も雨と聞き、意を決して行くことにした。

両俣からのコースは序盤はほぼ沢登りで道標も不明瞭。確かにこれは一般向きではない。

中白根沢ノ頭に出るあたりで、ようやく雨が止み、少しずつ視界が開けてきた。
北岳にもかかわらず、山頂は無人だった。結局、この日は両俣から広河原まで、一日誰とも会わない珍記録(?)を達成。

下り途中で明日目指す富士山が見えた。遠いな!

■8/17 広河原~河口湖
この日は富士山の麓まで約100kmの移動。富士五湖をめぐる気持ちの良いサイクリングだった。
雨の南アルプスで950円シューズが壊れてきたので、途中のスポーツ店で新しく靴を買う。この旅三足目だ。

■8/18
まる2日間にわたる雨と950円シューズにやられた足の皮の回復待ちと、富士山の天候待ちで1日河口湖のキャンプ場でレストを入れた。

■8/19 河口湖~スバルライン~吉田5合~山頂~富士宮5合~田子の浦みなと公園
9日目。この日はUp3000m、Down3776mで富士山を越える最後のハイライトだ。朝2時にスタートする。
まずは、富士スバルラインの標高差1500mのヒルクライム。3速の小径車ではなかなかつらいが、押すことなく2度の休憩で登りきる。

8時前に5合目到着。天気も上々で1日待った甲斐があった。

さらに登山道で1500のアップ。ゆっくりだけどひたすら止まらない作戦で歩くと、意外と速く4時間ちょっとで山頂に着いた。

お鉢をめぐって最高点を目指す。この旅で最高の天気が気分を盛り上げてくれる。

3776m、今回の旅の最高点到着。

最後は海までの54km、下り2400mのロード区間だ。この下り、最初の27kmが信号もないノンストップで半端ない。今回の旅に限らず、自転車でこれほど下り続けたのは初めてかもしれない。

ゴールの田子の浦・みなと公園に着いたのは、19時とやっぱりライトなしのギリギリ。海水にタッチで海から海までラインがつながった。

とにかく軽量化を重視したので、寒さ対策はポリゴン2ULに一本化した。
テント場では防寒具となり、朝そのまま走り出す行動着にもなった。濡れた服の上のあえて着て着乾かしを後押ししたり、とにかく縦横無尽に活躍した。大正解。

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他に役立ったものとしては自転車のペダルに取り付けるハーフトゥクリップ。ぺダルに取り付けるだけでペダリングの効率をアップするうえ、どんなシューズとも合うので、自転車だけでなく歩き区間もある今回のような旅にはぴったりだった。

 

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