雪の中で遊びながら、知らず知らずのうちに心肺や体幹が鍛えられるという「クロカンスキー」。
その疾走感は、ランナーならやみつきになること間違いなし! だとか・・・。
とはいえ、どんなアクティビティなのか、まだイメージしにくくて・・・という方も多いかもしれません。
そこで今回は、山田琢也さんにクロカンスキーのイロハ、歴史、楽しみ方、などなどを根掘り葉掘りインタビューしました! (finetrack編集部)
―― クロカンスキーというと、細いスキーで走っているオリンピック競技のイメージです。
競技の世界は激しく苦しいイメージがあるかもしれませんね〜。仕方ありませんよね、TV放映されるのもオリンピックくらいですし。でも本当は優雅で健康的で楽しいスポーツなんですよ。
―― やはり、あのピタピタのウエアを着なくちゃいけないのでしょうか?
ピタピタは着なくてもいいですよ! 笑(ピタピタも気合が入って好きですが) 冬のトレイルランニング+αのイメージでレイヤリングするといいと思います。
―― 「クロスカントリー」という呼び名自体は、よりナチュラルで旅のイメージも感じますね。
そう、海でいうカヤックのように、もともとは移動や狩りの手段だったんです。起源は北欧で2500年前ともいわれています。日本だと弥生時代? 全てのスキーの原点なんですよ。
私も数十年前、小学校へ行くのにズルしてスキーで行っていました(本当は歩いて行けなきゃいけない)。30分かかるところを10分で行けましたらから、雪上での機動力はバツグンですね。
―― ヨーロッパでは、街と街をつないだり、街中にもクロカンコースがあると聞きました
私の暮らしていたドイツのワルガウという街は、隣町のクルン、そしてその先の街までクロカンコースで繋がっていました。観光地ということもあって、どこの街からでもスキーツアーができる様になっていましが、近所のおじさん、おばさんもウォーキング感覚でスキーを楽しんでいましたね。
コース途中にカフェもあって、天気のいい日は外でランチしたり。ビールを飲んでいる人もいて、どうやって帰るんだろう?って思ってました。笑
―― なるほど。ツーリング感覚なんですね! そんなクロカンスキーの楽しさのポイントは?
雪原を駆け抜けるときの開放感、終わった後の爽快感! これは雪山の有酸素スポーツならではだと思います。
キーンと冷えた空気の中、真っ白な雪原の中を駆け抜け、そしてビールで乾杯! 最高に決まっていますよね!
―― いわゆる滑り系のスキー(アルペンスキーなど)との違いは?
登りも下りも平地も、すべて遊べるところ。そしてランに活かせる有酸素能力が高まる点もいい。また道具が圧倒的に軽いのでめちゃくちゃ軽快です。
―― クロカンスキーは道具が独特ですよね。スリムでタイトなブーツとか・・・どんな構造なのか気になります
ブーツは、登山靴より少し柔らかく、ランニングシューズよりも安定感があります。ずっと履いていても痛みや不快感はありませんよ。
ブーツのまま歩くこともできますが、アウトソールがプラスチックなので、滑りやすいし歩きにくい。なので、スキーを履くためのブーツですね。
―― 板は、じっと立っていられなくてフラフラしそう・・・なんでこんな形なんでしょう?
スケートをイメージしてもらうといいと思います。太い板だと抵抗が大きすぎますし、うまく角づけもできないのでスキーをコントロールできません。じつはどのスキーよりも滑走性が高いのがクロカンスキーなんですよ。
―― ということは、けっこうスピードが出るんですか?
その気になれば下りでは時速40〜50kmはでるでしょう。どのスキーよりも一番滑ります(滑走性が高い)からね。
―― この板にはエッジがありませんね・・・どうやってブレーキをかけるのでしょう?
やはりスキーの角でブレーキをかけて止まります。スキーにサイドカーブがないため、踏み込んでも曲がりません。細かく踏み換えるか、ズラしてターンします。
―― 踏み換えて曲がる・・・まさにスケートみたいですね。始めてどのくらいで滑れるようになるんでしょう?
アルペンスキーをしたことがあれば、半日で滑れるようになりますよ。そしてやればやる程、どんどん上達するでしょう。独特なテクニックもあるので、レッスンを受けられるとなお良いですね。
―― おすすめの遊び方、みんなにも味わってほしい!と思う楽しみ方を教えてください。
トレイルランナーの方なら、遊びながら身体を鍛えましょう! 有酸素能力を高められ、体幹も鍛えられますよ。
登山派の方なら、雪原散歩を! 3月になると雪面にシミワタリ(凍み渡り)ができるようになって、雪が沈みにくく、クロカンスキーで行けるフィールドがぐっと広がります。お茶やおやつを持って、普段歩けない森の中を自由自在に歩いてみるのはどうでしょう?
―― ヨーロッパのように、ツーリングするように手軽にクロカンスキーができる場所、日本にもありますか?
JR飯山駅に来てください! 駅でスキーセットをレンタルできます。
近くに長峰運動公園、木島平XC(クロカン)コース、野沢温泉XCコースがあります。
長峰運動公園は初心者に最適で、木島平はビギナーからエリートまで楽しめるコースになっています。雪の林の中のコースは美しいですよ!
―― 飯山はクロカンスキーがとても盛んなんですよね?
学校体育でクロカンスキーをしますから、学校にも貸し出し用の用具が揃っているし、小学校からスキー部があって放課後もスキーをします。お隣りの長男が全国大会で優勝したとか、どこどこの父ちゃんが日本代表だったとか、そういうのはザラですね。
私もそんな環境で育って、クロカンスキーヤーになったわけです。
―― 競技選手だった頃といまでは、クロカンスキーとの付き合い方が変わりましたか?
いまの自分にとって、クロカンスキーは、トレーニング、遊び、教育の3つですね。
冬の間は雪があって走りにくいので、思い切って走らないでスキーでトレーニングすると決めています。すると怪我が治り、ランニング以外で使う部分も鍛えられて、結果的にランに良い効果があるんです。
それに、雪原をランより速いスピードで駆け回るので気持ちいい! 遊んでいたらいつの間にか鍛えられていた、そんな感覚です。
教育については、地元の小学生に教える機会があります。私もスキーでたくさんの経験を積ませてもらいましたから、次は今まで学んだり経験したことを伝えていく番。何か役に立てたらと思っています。
―― 最後に、クロカンスキーヤーで良かった! やっぱこれ最高! と思う瞬間を教えてください!
スキーをすると体幹の筋肉がしっかりしてカッコいい身体になるところ!
すごいスピードで雪原を駆け抜けた後のビール!
初めてクロカンをした人が笑顔になった瞬間!
12/17 スポーツのマンゾク(富山県)でイベント開催! 山田琢也の【トレイルランナーの為の冬の新しいアクティビティについて】トレイルランナーのための冬の新しいアクティビティ クロカンスキー、スノーシュー、SKIMO(Ski Mounteneering)について語ります! ・開催日時:2017年12月17日(日) 17:30~19:00 |
1~2月、トレイルランナーのためのスキーキャンプ開催! ノルディックスキー キャンプ for Trail Runner「遊んでいたらいつの間にか身体が鍛えられていた!」を実現する、トレイルランナーのためのクロストレーニングキャンプ。山田琢也のコーチングで、クロカンスキーの基本走法、雪山の遊び方(駆け方)をマスターしよう! ・開催日時: ・開催場所:スポーツハイムアルプ |
マルチアクティビティプレイヤー
山田 琢也
1978年長野県木島平村出身。全国各地のトレイルランニングレースでは表彰台の常連者でありながら、今なおクロスカントリー・マウンテンランニング・MTB等で、地元を遊びつくすことを身上とする、マルチアクティビティプレイヤー。finetrackエグゼクティブパートナー。