DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

マルチアクティビティプレイヤー: 山田 琢也

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冬の間、全く走らないトレイルランナー山田琢也が、長い冬眠を経てようやく走り出しました。
2018トレイルシーズンの始まりを告げるMountain Note Bookは、5月のレースでの勇姿と、そのとき感じていた「痛み」について。阿蘇の雄大なトレイルとともにお送りします! (finetrack編集部)

[写真提供:阿蘇ラウンドトレイル実行委員会]

根っからのスキーヤーである私は、初夏になろうと言うのに今だに雪を求めてウロウロ。これがスキー納めだと何度言ったことか。。。

そしてスキーを納められず、ランシーズンにも突入。忙しいです。でも、諦めました。どっちかを取るなんてできないので、どっちもする事にしました。

さて、冬眠明けのこの季節のランニングには毎年痛みが伴います。

ランナーの痛みといば、ランナーズニー、アキレス腱鞘炎、腸脛靱帯炎、、、それから胃痛や、吐き気、摩擦による靴擦れなどなど。特にロングトレイルレースでは常に痛みと隣り合わせです。

しかしそれらの痛みとは、また違った痛みがあります。私は身体が目覚める痛みと呼んでいます。

スキーシーズン中(12月下旬〜3月上旬)、全く走らず(本当に走っていません)スキーをするのが山田流です。走らない事で、オーバーユースがほとんどの原因である怪我は治るし、ランとは別の運動をする事で総合的に身体が鍛えられ、ひいてはランでの上りや下りの強さになっていくと感じているからです。

またラン始めのこの時期は、ずっと前からやってきているはずのランが新鮮で、ワクワクしながらトレーニングをスタートできるという効果もあります。ただ、冒頭にも書いたように、スキーからランへの移行が年々遅くなってきているので、デメリットと言えばそうです。あはは。

そして必ずこの時期に一緒にやってくるのが、膝や腰など身体の痛みです。これは加齢と共に年々痛みが増しているようにも感じています。ただ、この痛みはいずれ消えていき、身体が動くようになってきます。そしてある一定の壁を超えると、一気に走れるようになり痛みもなくなります。この痛みを私は「身体が目覚める痛み」と呼んでいます。

「身体が目覚める」なんて言っていますが運動生理学的に言えば、破壊と超回復を繰り返しパフォーマンスが向上されるという身体のメカニズムです。

ただ私の場合は、冬に全く走らない事で身体にとってランが新しい動きになり、慣れきってしまったランという動作に対して新鮮に取り組める事で、パフォーマンスアップに最も大切な「閃き」や「気づき」を感じさせてくれるのです。シンプルな運動だからこそ、長年やってきたからこそ、あえてやらない事での出会いがあります。

ただし怪我に繋がる痛みなのか、身体が目覚めるための痛みなのかを見極める事は大切です。では、どうしたらいいのか?と良く聞かれるのですが、まだハッキリとはわかりません。毎日自分の身体と向き合い続ける事を習慣にする事でしか、この見極めはできないのかもしれません。トレーニング効果はリカバリーの過程で得られるので、走った後のケアの時間(ストレッチ、食事、睡眠)を大切にしたいですね。

さて、そんな冬眠明けの直後に阿蘇で109kmのロングトレイルに挑戦。15時間59分で3位に入賞しました。

走る身体ができていないので、とにかく前半はゆっくりと入りました。

阿蘇山の外輪山を走る、この日だけのスペシャルコース。

あか牛も応援しているような気がしました。レース後はなんだか食べられませんでした。

109km、15時間59分の痛みに耐えてフィニッシュ。レース中は、きつかった。もう終わりたいと何度も思いました。でもフィニッシュすると不思議と心地良い痛みに変わります。だからレースでは意地でもフィニッシュしたい。そして、また走りたくなります。

制限時間29時間。スタートの翌朝は厳しい雨に見舞われました。私がフィニッシュした時よりもハードな条件に。でも楽しそう。

痛い、気持ちいい、なんて言っているとマゾヒストと思われてしまうかもしれません。でも、私はそんな趣味はありません。いやあるのかな…!?

アウトドアアクティビティでは、帰ってくる事(フィニッシュ)でしか、その痛みを心地良いものにできません。だから、フィニッシュこそ最高の場所で、また何度でも行きたくなる所なんだと思います。

今シーズンは100mileに挑戦するつもりです。怖いけど楽しみ、痛そうだけど面白そう。やっぱり私は、マウンテンマゾヒストなんでしょうね。最高!

(写真提供:阿蘇ラウンドトレイル実行委員会)

阿蘇ラウンドトレイル 109k 装備一覧

【ギア・補給】
・ヘッドライト(レッドベンザー)
・バックパック(フリューイッドベストパック6L/マウンテンハードウェア)
・シューズ(ログF.K.T/コロンビアモントレイル)
・テーピング(Vテープ,Xテープ/ニューハレ)
・時計(fenix5/GARMIN)
・サングラス(MK2/smith)
・水分(エレクトロライトショッツ/ショッツ)
・補給食(WINZONE,塩熱サプリ,ぺスパハイパー、etc)

【ウエア】
・アンダー(パワーメッシュタンクトップパワーメッシュボクサー/finetrack)
・ベースレイヤー(ドラウトゼファーT/finetrack)
・パンツ(スカイレーサーショーツ Ver.2/finetrack)
・ソックス(ラミースピンソックス5本指アンクル/finetrack)
・雨具(エバーブレスレグンジャケット/finetrack)
・グローブ(エバーブレストレイルグローブ/finetrack)

マルチアクティビティプレイヤー
山田 琢也

1978年長野県木島平村出身。全国各地のトレイルランニングレースでは表彰台の常連者でありながら、今なおクロスカントリー・マウンテンランニング・MTB等で、地元を遊びつくすことを身上とする、マルチアクティビティプレイヤー。finetrackエグゼクティブパートナー。

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