冬は雪山登山に行くことがほとんどだったが、昨シーズンからテレマークスキーを始め、スキーの技術・経験はないがやる気だけは満々だ。未熟ながらもゲレンデ練習は重ねてきたし、次は山を滑るための技術・知識も身に着けたい。そう考えていた矢先に、職場の先輩スキーヤーからBCツアーのお誘いがあった。
今回は白馬乗鞍岳と小蓮華岳の稜線の間からドロップし、金山沢を滑降するルート。昨シーズン行った先輩たちの写真を見て、ぜひ行きたいとリクエストしていたエリアだ。
■アクティビティ日:2019年3月9日
今回はスタートとゴールが別の場所にあるため、事前に車を回送しておく必要がある。
空は真っ青な快晴。麓からは真っ白な本日のドロップポイントが見え、期待に胸を踊らせながら車を1台、ゴール地点となる猿倉の林道下に駐車した。
駐車後はもう1台の車で栂池高原スキー場の駐車場へ。ゴンドラリフトと栂池ロープウェイを乗り継いで、リフトトップからハイクアップを開始する。
まずはなだらかな栂池自然園。まるで雪上散歩のよう!
うららかな雪原ではフットプリントハンティングも楽しめる。
徐々に等高線が詰まってきて、白馬岳がだんだん近くなる。
滑りでは毎度転んで埋まって…と苦戦するものの、登りの脚力には多少の自信があった自分。
途中トレースを使わずに尾根を突き上げてみると…
見た目以上に体感する斜度と、たかがくるぶし程度のラッセルでたちまち減速。まわり道してトレースを歩いた仲間たちに早々と抜かれてしまう。
追いつくと、「有事に備えて脚力のムダ遣いは、ほどほどに。」と、ツアーリーダー髙木。
斜面が急になってくると、今度はシールを効かせきれずにズルズルと後方へ滑ってしまう。
板にしっかり荷重をかけているつもりが、ひとたび滑り始めると無意識に前傾姿勢に。スキー用アイゼンを付けるという手段もあるが、シール歩行にも慣れが必要とのこと。ここは練習のためにもペースを落としてもらい、アイゼンなしで粘る。
今シーズン3度の1dayツアーを経て、ようやく慣れてきたと思ったキックターンに苦戦するシーンも。
くうう。
幾度か後方へ滑って転んでを繰り返し、ようやく稜線へ!
船越ノ頭でこれから滑る雪面のコンディションをチェック。シールを外して小腹を満たし、滑走準備に入る。
今回は初心者の私にもドロップしやすそうなポイントを探してもらった。
これから滑る急斜面を楽しげに覗き込む先輩スキーヤー稲田の隣で、私は緊張のあまり落ち着かない。
まずは雪斜面への飽くなき探求心と強靭な脚力を併せ持つK氏が、先陣切ってドロップ!
あっという間に小さくなっていく仲間たち。
最後尾を担ってくれる髙木に激励され、腰が引けても後には引けない。……まさに背水の陣!!
せ……、せぇのッ。
と、こわごわドロップ。
ひええええ!
傾斜が急だったのは最初のうちで、1つ目のターンを終える頃には落ち着いて、仲間の滑りを見る余裕が出てくる。
それにしても板が雪に引っ掛かり、テレマークターンどころか真っすぐ滑ることすら難しい。
どうやらモナカ雪に似た悪雪で、先輩たちにとっても難しいコンディションだったのだとか。
400mほどオープンバーンを滑り降りると、ルートは徐々に狭まり沢らしい地形に。
林道手前で露出した沢沿いのトラバースがいやらしく、悪雪の滑りで無意識に酷使していた脚がじわじわと疲れてくる。陽が傾いて陰になった沢沿いの斜面はすでにクラストしているところもあり、山脚側の右太腿に気合を入れながら慎重に通過する。
――有事に備えて脚力のムダ遣いは、ほどほどに。――
……昼前にいただいた髙木の言葉の真意はコレか。
1日の間でも標高や気温、日照条件によってコロコロと変わる雪質。どんな状況でも余裕をもってスキーをコントロールするために、脚を残しておくべき。それは一般的な雪山登山以上に必要性の高いことなのかもしれない。う~む、身に沁みました!
適度に距離を開けつつも、必ず視界の端でこちらの様子を伺い待ってくれている稲田の姿がありがたい。(それどころではなかったので写真がなく残念!)
なんとかトラバースを終え、林道に登る。
どうもお待たせいたしました~。
ここからはひたすら猿倉林道を下り、デポしておいた車で栂池高原スキー場の駐車場へ戻った。
自分にとって初めてのオープンバーンのBCツアーは、悪雪でなかなか思うように滑れなかったのが残念。でもそういった課題が残ることがまた楽しい。次にここに来るときまでに、どんなコンディションでもある程度は滑れるように練習しておこう!
今回のように天気がよければ、ハイクアップ中は保温着を脱ぎ、トップスはベースレイヤーのみで歩くことが多い。同行した仲間たちはメリノスピン®ライトを着用していたが、女性にはそれだと少し寒いと感じる人が多いかもしれない。現に寒がりの私にとってはメリノスピン®サーモの高い保温力がちょうどよかった。特にボトムスは今回L3もL4も省き、メリノスピン®サーモの上にアウターシェルパンツを重ねたところ、十分な保温性を得ながらも、暑いときはアウターシェルパンツのベンチレーションを開けることで一気に換気ができ、重宝した。