DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 三宅 毅  ■写真:三宅・林

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スタッフの遊び記録

豪雪地域はゴールデンウィークのこの時期、雪融けで水量アップ。カヤッカーにとって心躍るひと時だ。今年は10連休をフル活用して北関東の利根川みなかみへ。長い道中、日本海にまわり道して北陸の良川に立ち寄る。その時々の水量で行先が決まるため、プランがあってないような旅である。

■アクティビティ日:2019年4月27日~5月6日

1本目:早月川ロアーセクション(富山県) 2019.04.27

遅れて来る仲間を待つ間に偵察すると、下流部は普段は水量がないが、雪融けに雨がプラスされていい感じ。さらに上流部も水量多く、エキサイティングな状態だ。今日は遅いスタートで初日ということもあり、慣らしとして下流部を選んだ。

下流部でもさすが日本海に注ぐ急流。冷たく重い雪融け水の川、見かけよりキツイ瀬が続く。水深が浅いので沈やスイムは禁物だ。数カ所の護岸で気になる大きな井型のコンクリブロックが入っていて、注意深くクリアした。

北陸新幹線や北陸道の橋を通過する辺りで目前に海が広がる。瀬は最後まで尽きず、波立つ海にそのまま流れ込んだ。この日は海が荒れており、うっかり海に出ると沖まで持っていかれそう。珍しい海岸のテイクアウトで締めくくった。

2本目:早月川アッパーセクション(富山県) 2019.04.28

水量は少しダウンし、流速、パワーがほどほどに落ち着いた。北陸クリークの銘川だけあって、立山連峰を背景に、瀬の内容、水質、全て申し分ない。前日はキーパーホールだらけで心配だった所も、パドリングでルートを選んで行ける。

落差がありグレードは高い。毎回瀬の形が変わっているので、4〜5ヶ所見通しが悪い瀬でスカウティングする。エクストリームに相応しくあえて無難なルート取りでリスクを回避。2ヶ所ある堰堤もそれぞれスカウティングしてクリア。

瀬は終盤まで途切れることなく続いて、青い吊り橋の辺りでようやく流れは穏やかになり、ダム直前でテイクアウト。

3本目:宮川(神通川支流・岐阜県富山県) 2019.04.29

高原川狙いだったが水量不足。宮川も明らかに少ないが、何とか下れると判断。しかし、穏やかなのはほんの序盤だけで、荒削りで険しいクリークだった。

道路から離れて途中で上がれる所はほとんど無く、実際よりグレードを高く見積もる必要がある。低水量でも流れが集まる瀬は強烈なパワーで、大きくコースチェンジすることは難しい。岩が出てくることで複雑化しているが、出来るだけ素直なルート取りを心掛ける。

大きな瀬はハイウォーター時は違うところが難所に変わっている。ロングの瀬では大岩が見通しの利かないドロップを作ってスリリング。鉄橋の瀬は相当な落差があるドロップだった。

最後のロックガーデンは、巨大ポワオーバーよりそれに至るまでが難しい。左岸ベタのスロットは浅くて狭く、キビシいが、他はシーブや極端なドロップで通れない。ロックガーデンを過ぎると程なくテイクアウト。この川は、毎回、漕ぎ終わると思わず握手してしまう。

4本目:利根川紅葉峡~後閑(群馬県) 2019.05.01

前日を移動とレストに充て、道中で吾妻川と四万川を見つつみなかみ入り。その間の雨で、一時下がった水位は少し回復。

利根川の長い流程に多くのセクションがあり、水量さえあればレベルや趣向に応じたパドリングを楽しむことができる。この日はホワイトウォーターとしてはメインの紅葉峡と諏訪峡セクションを経て、後半の月夜野セクションも含めたロングコース。

落差がほどよく埋まっており、ルートは広く、パワーはほどほどでリラックスして楽しめる。プレイボートでウェーブやホールを掴まえて遊びながら下った。

5本目:利根川紅葉峡~諏訪峡(群馬県) 2019.05.02

晴天の下、背景に雪を頂いた谷川岳。前日よりも若干水量がダウンしていっそうマイルドに。それでも早い流速と適度な勾配で、長く強い瀬が続き、しっかりと楽しませてくれる。

大きな瀬でもルート取りさえ出来ていれば、立て続けに現れるビックホールも余裕で処理できる。悪魔の階段は、川幅の半分近くで岩盤に水が薄く掛かるのみ。ストッパーを縫うように漕ぎ抜ける。往年のヘブンホールの所に大きなウェーブが立っており楽しんだ。諏訪峡を抜けたところでテイクアウト。

6本目:片品川(利根川支流・群馬県) 2019.05.02

利根川のあとで支流の片品川へ。堰堤直下でプットインするといきなり二段の大きなドロップがある。柔らかい地質を流れで侵食され、高い崖となっており、川に掛かる橋は全て高い。本流の月夜野セクションと似ているが、それよりドロップの要素が強い。

後半、崖から崩落した大岩で最近出来たドロップがある。左と中央に巨大なポワオーバーがあり、空いていそうな右ルートも流れは真ん中のポワオーバーへ向かっており、回避は難しく悩んだ挙げ句ポーテージ。

利根川に合流すると川幅が一気に拡がって気持ちの良い連続波が続き、直ぐにテイクアウトとなる。このレベルの水量はなかなかレアとのこと。この幸運も一緒に下らせていただいた関東カヤッカー皆様のお陰と感謝。

7本目:吾妻川(利根川支流・群馬県) 2019.05.04

前日に赤城山に登り、再び仲間と合流。八ッ場ダム工事で今後どうなるか未知数なので、いま下っておきたい川だ。吾妻峡後半でプットイン。水質は温泉そのものといった感じだが、石灰を投入して中和しているのが珍しい。

コース前半に大きな瀬が集中し核心部となる。地層が激しく侵食され、荒々しい落ち込みと巨大なウェーブやホールが混在。コースを案内してくれた同行者も数年ぶりで水量も多いので、スカウティングしながら進む。大きな落ち込みが幾つかあったが、うち2ヶ所はポーテージ。

後半は瀬と落差はやや緩くなるが、続く瀬に飽きることはない。要塞のような岩櫃山を横目に進んで堰堤手前でテイクアウト。

8本目:志久見川(信濃川千曲川支流・長野県)  2019.05.05

情報を得て北陸に向かう途次に帰路に立ち寄る。プットインから信濃川合流までずっと瀬が続く。と言ってもイージーなクラス3である。渓谷は深く、途中で道路へのアクセスは難しいが、川岸に上がるのは容易なので、見通しの悪いドロップはスカウティングする。

歓声を上げながら漕ぎ通し、4kmをあっという間に消化して信濃川に合流。そこから少し下ってテイクアウトに到着。

9本目:千曲川信濃川 (長野県新潟県) 2019.05.05

漕ぎ足りずに大波が立つ大河の本流へ。時折険悪そうなホールが現れるが、ルートは非常に広く、回避は容易である。極端なドロップや、岩や人工物絡みの危険な所も特になく、気を張らずに楽しめる。

距離は長いが、長い瀬がテンポよく現れ飽きない。瀞場も長いが、足の早いフネを選んだので、さほど問題ではなかった。

10本目:常願寺川(富山県)  2019.05.06

前夜に富山まで戻って迎えた連休最終日。見るだけ見てみようと行ってみると、最高のロケーション。澄んだ水が心地よい流速で流れている。流れが散って広く浅いところもあるが、水が集まると、高い波やホールでボートが大きく上下する。

大きな落ち込みはラストの1つだけで、それ以外はイージーで心地よいクラス3。最後はフラットな流れとなり、テイクアウト地点に到着。

午前中には漕ぎ終わって陽のあるうちに帰宅。10連休の余裕のある日程のおかげで、非常に充実したリバートリップだった。

 

本格的な春となり気温が上がっていても、冷たい雪融け水を泳ぐ最悪の事態に備え、この時期はまだフルドライスーツを着用する。一方で、ドライスーツの中は、天候や川のコンディションによって、ドライレイヤーとベースレイヤー、場合によりミッドレイヤーのレイヤリングで汗の処理と温度調整を行って快適に。(アクティブスキン+メリノスピンサーモ、さらに保温性が欲しいときはフラッドラッシュかポリゴン2ULを着用)

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