~2022春夏新商品「ドラウト®クアッド」開発STORY~
2022年春、finetrackのベースレイヤーラインナップに登場した「ドラウト®クアッド」。
春~夏に使い倒せる機能バランスの良さが特長ですが、そのバランスを追求するには革新技術を集結させた繊維開発と生地開発、そして何度にもわたる試行錯誤が必要でした。
その開発背景をお届けします!
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いかなるアクティビティでも常に着続けるベースレイヤー。秋冬と異なり、春夏のアクティビティでは、単に日常的に着るTシャツなどと同じ感覚で選ぶ人もいらっしゃるかもしれませんが、アウトドアで快適に過ごすためにはやはりベースレイヤーの機能性は欠かせません。
しかし一言で“春夏”と言っても、残雪から夏山の登山、アルパインクライミング、ラン、自転車などなど、春夏の遊びは多岐にわたります。もちろん、気候などの環境もさまざま。そんな春夏のあらゆる環境下に幅広く対応できる1着を求めて開発したのがドラウト®クアッドです。
果たしてどんな1着ならオールラウンドに使えるのか?
ファイントラックが春夏のベースレイヤーに求める主な機能は4つです。
①汗のベタツキを抑える[吸汗性]
②濡れ冷えを防ぐ[速乾性]
③安心して動ける[生地強度]
④蒸れにくく、寒くなりすぎない[通気性]
例えば盛夏に日帰りで低山に行くなら、薄さや凉しさに特化したものが快適です。
しかし何日かかけて北アルプスを縦走するとすれば、時期に関わらず暑い時もあれば寒い時もあり、ルート上には藪があれば岩稜帯もあります。そのいずれの環境にも適応するために大切なのは、上記4つのどれか1つが飛びぬけたのではなく、どれもバランスよく備えること。
そして、活躍シーンがいくら増えても良いように、長く快適に使えることではないでしょうか。
だからドラウト®クアッドの開発では、そういったバランスの良さと長く使える耐久性を追求しました。
生地開発を担当したスタッフ田中。機能実現までのプロセスを聞きました。
オールラウンドに使えるバランスの追求には、革新技術を集結させた繊維開発と生地開発、そして何度にもわたる試行錯誤が必要でした。
まず吸汗性については、長年の使用を経ても汗によるベタツキを軽減できるよう、繰り返しの使用で機能が脱落してしまうポリエステル×薬剤加工による吸汗性ではなく、繊維表面を親水性の高い性質に変化させた特殊ポリエステル繊維を採用し、これにより吸汗性を持たせました。繊維自体に吸汗性が備わっているので、薬剤加工とは異なり半永久的に吸汗性を維持することができ、1着を長くご愛用いただけます。
生地のアップ。繊維の改質と編み構造の工夫により4つの機能をバランス良く備える。
続いて速乾性について。一般的に、生地を「極薄手」にすれば速く乾く傾向にあるのですが、それだと稜線の風を寒く感じてしまうこともあります。春夏の長いシーズンに対応するなら使いやすいのは「やや薄手」。そこで程よい生地厚を持ちながらも、吸汗スピードを上げるために、独自の3層構造生地を採用しました。
肌面が凹凸のある構造になっており、そこから吸い上げた汗が中間層を抜けて外側の層へ素早く移行し、一気に水分が広がるようになっています。これによって肌側から吸った汗が外側でどんどん乾いていくのです。
肌側の生地に水滴を垂らすと…。
あっという間に拡散。これが速く乾くための秘訣です。
そして、生地の強さと通気性について。「やや薄手」の生地厚ながら、生地の強さと通気性を両立するのは、まさに絶妙なバランスを探る作業。ほどよい通気性を担保しながらも摩耗強度を出すために、糸使いや生地の編み方を微調整しながら何度も生地サンプルを作りました。
試行錯誤の末に出来上がったドラウト®クアッド。フィールドでの着用テストでは、想像以上の着心地を実感することができました。
夏季の縦走において、樹林帯を登っている間は晴天で気温も高く、かなり発汗したのですが、背中のベタツキを感じることがありませんでした。これは3層構造生地による肌面の点接触が功を奏しているのでしょう。
途中何度か枝や岩でウエアを擦りましたが、生地に傷みは出ておらず十分な強度を体感しました。
そして稜線に。標高もやや高めで風は少しヒンヤリとしていましたが、登りでかいた汗が素早く乾いていたことに加えて、程よい生地厚のおかげで寒くはならず、シェルを羽織ることなく快適に稜線歩きができました。
このちょうど良い着用感こそが、狙っていたバランスの良さです。
この春夏に計画している残雪期や夏山の縦走にも、ドラウト®クアッドが活躍するはず!みなさんもこの春夏のアクティビティで、ぜひドラウト®クアッドをオールラウンドに使い倒してみてください。
(finetrackスタッフ 田中)