DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 中山喜久子/田中由希子

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スタッフの遊び記録
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中山・田中は、お酒と山をこよなく愛する居酒屋山行コンビ。
この数年は厳しめの雪山に挑戦して敗退が増えている。
今回のルートも年末に挑戦した時には、ほぼキャンプしただけで敗退しており、リベンジをかけての挑戦となった。

積雪期 南アルプス聖岳東尾根。

さあ、どこまで行けるのか。

すーーごい長い林道歩きに溜息をつき、ノートレースのラッセルにへこたれ、季節外れの大雪にテンヤワンヤ。
疲労と寒さでヘロヘロの私達に、それでも山の神様が微笑んだ。

■アクティビティ日:2022年3月17日~3月21日

駐車場の畑薙ダムから取りつきまで、なんと15kmの林道歩きがある。
この林道歩きが地味にこたえることは、年末で経験済。

そもそも20kgほどの荷物を担いで、15kmってどうよ!?と思案した結果、投入した新兵器「リアカー」

リアカーにスリングを2本くくりつけ、2人の腰に巻き付けて曳く。
おおぉ!!これは大分楽なんでないかい?スバラシイ!!

嬉々として2人でゴロゴロと曳いていく。
・・・いや、大分楽なんだけど、牛車か犬ぞりか、ドナドナ感が半端ない。明らかに変だよね、私達。

林道整備の東海フォレストさんに、笑われ、激励され、工事現場の狭い場所では助けて頂き、
4時間ほどかけて取りつきへ。

つ、疲れた。

取りつき付近に愛車(※リアカー)を残置し、いざ、東尾根へ。

標高1500m位から積雪がみられ、完全ノートレースのラッセルが始まった。

予想通り、先行者はいない。二人で交代しながらトレースを付けていく。
背中が重い。時折、腰まで埋まる。

きっつい。。。この樹林帯のラッセルが一番きつい。

寝不足と疲れで音を上げそうなタイミングで標高2000m付近に到着。
幕営適地を見つけて疲れを癒した。

翌日もラッセルは続く。
偶然電波が入り、天気予報を確認すると、今夜は大雪、明日の午前中は晴天、午後からは崩れるようだ。
これは明日の午前に勝負をかけるしかない。本日はできる限り標高を稼がなくては。

白蓬ノ頭の直下にちょうど良い平坦地があり、ここを幕営地とした。
ちょっとだけ乾杯した後、睡魔に勝てず、ぼんやりとうたた寝をしていたら、
いつの間にやら降り出した大雪に押されてどんどん居住空間が狭くなってきた。

いかん、いかん。除雪開始!!

50cmは軽く降っただろうか。
疲れた身体にムチ打って、大雪の中、スコップを振るう。

「なんでこんなことしているんだろうね・・」
多分、お互いが心の中で思っている。
しかし、少しの疑問なんて吹っ飛ぶくらいの景観に、心が震えることもわかっている。

明日はきっと晴天だ。今日はしっかり休んで、英気を養おう。

晴れた!! こんなに晴れるとは思わなかった。

白蓬ノ頭から望む赤石岳の雄大なこと。
白銀の稜線の先に見える聖岳の美しいこと。

来れて良かった。
しみじみと、そう思う。

さあ、ここからは天国の稜線歩きだ。

昨日の大雪は程よく締まっているが、降りたてなので全く油断ができない。
必要に応じてロープで確保しながら慎重に。

奥聖まで行けたらいいなぁと言いながら、一歩を踏み出す。

背中には富士山、右に赤石、稜線の先には聖岳。
完全ノートレースの美しすぎる峰々。

奥聖が迫ってくる。
ピークを何度も越え、互いに声をかけながら、一歩一歩進んで・・・
なんと!到達することができた。

相方に感謝をこめてハイタッチ!

大雪の影響で雪庇が恐ろしく、感動もそこそこに下山開始。
さあ、下りよう。テントでお酒をのもう。そうしよう。

山頂直下が一番の危険地帯。慎重に、慎重に。

夕方には風が強く吹き出した。良いタイミングで登頂できた喜びをかみしめながら乾杯!

翌朝、白蓬ノ頭であらためて自分たちが歩いた稜線を見に行く。

顔がパンパンにむくんで大変なことになっているので、影で喜びを表現。
注意)寒くて乾燥した中、ソロテントに2人ギュウ詰めで3泊も過ごすと、中々のお顔になります。

結局、登りも下りも、誰にも会わなかった。
達成感を胸に、長い下山道を歩いていく。

ただいま。私達の愛車(※リアカー)よ。
このクソ重い荷物を積んで、楽にさせておくれ。

またまた東海フォレストの皆さんに励まされ(&笑われ)ながら、畑薙ダムへ。
汚れまくった身体を温泉で清め、島田の素敵な料亭でご褒美のうな重をいただく。
30分もかけて焼き上げる絶品のウナギなのだが、腹ペコ過ぎて10分で食べてしまった。なんたる食欲。

山の上は大雪だったが、里は桜が咲き始めていた。

次はどこに行こうかな。そろそろ、沢かな。
疲労でヘロヘロのくせにそんなことを考えている。
「本当に何やってるんだか」 苦笑いしながらも、また雪山に来るんだろう。

今冬の目標は達成できた。いい山だった。
雄大な南アルプスに別れを告げ、一路車を走らせた。

 

アプローチは春の陽気。山上は凍てついた世界。その間はラッセルの樹林帯と落差の大きな環境変化を淡々と乗り切ってくれた、お気に入りのアウターシェルパンツが、このエバーブレスバリオパンツです。
とにかく軽く、透湿性も十分。
それでいて雪山で必要なスペックを備えていて、風雪に見舞われてもそこそこ安心。
林道~ラッセル中はタイツに重ね、2600m以上ではさらにインナーパンツをプラス。
といった具合に保温力も調節しやすい為、おかげで4日間どの標高でも軽快に歩けました。
重厚なアウターシェルパンツが苦手な私は、12月~5月まで、雪山ではこれ一本!
春スキーにもちょうどいいですよ!

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