~2023春夏新商品「ドライレイヤー®オールロードショーツ」開発STORY~
2023年春、オールロードやトレイルライドに適したパッド付のサイクル用インナーショーツ「ドライレイヤー®オールロードショーツ」が新登場!汗による蒸れを軽減するための汗処理性能にこだわり、素材の選定からパッド構造の独自開発を行いました。その開発背景をお届けします!
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遠方へ遊びに出かけることが難しかったここ数年。スタッフたちは身近な自然を追い求めて、自転車で遊びに行く機会がこれまで以上に増えました。
街と山を繋ぎ、未舗装路を走り、ときには自転車を置いて山道や沢を登ったり、パックラフトに自転車を積み込んで川を渡ったり。
そんな遊び方に改めてハマるスタッフたちが増える中で、「もっとこんな〇〇があれば」という要望がアクティビティ中に出てきて議論になることもしばしば。
その中の1つがサイクリングの必須アイテムと言っても過言ではない、バッド付きのショーツでした。
ロングライドでの臀部の負担を軽減するためのクッション性を持つパッド入りショーツ。
一般的に出回っているものは、クッション性やフィット感は重視されていても、汗が適切に処理されないためショーツの中が蒸れたりベタベタになったりと、とにかく不快を感じることが多かったのです。
時には山の中に入り、自転車から降りて押したり、担いだりもするオールロードやトレイルライド。
自転車とパックラフトなど、一風変わったアクティビティの組み合わせを楽しむスタッフも
自転車と登山やトレイルランニング、さらにはパックラフトを組み合わせたりするマルチな遊びでは、何枚も着替えを持って行くわけにもいかず、汗でぐっしょりと濡れたパッドの不快感を我慢して穿き続けないといけませんでした。
それなら十分なクッション性を備えながらも、汗を処理することで蒸れにくく、ベタベタしにくいサイクルショーツが創れないだろうか。
そんな想いが発端となって「ドライレイヤー®オールロードショーツ」の開発が始まったのです。
一般的なサイクルショーツにクッション材として採用されるウレタンフォーム。これは水を積極的に吸う機能は備えていないため、多量の発汗をするとショーツの中がベタベタに蒸れて不快感につながります。
だからまず私たちが欲しいサイクルショーツに必要なのは、「吸水できるクッション素材」でした。
最適なフォーム素材を求めて、数十種類もの素材を集め検討したと語るマテリアル開発課 スタッフ田中
開発にあたり、数十種類のフォーム材を集めましたが「吸水」と「クッション性」のバランスに優れたフォームはなかなか見つかりません。
吸水性を高めると、フォームの目が粗くなりクッション性が悪くなってしまうし、逆もまた然り。どんなウレタンフォームを検討しても埒が明かず、半年以上も悩み続けたある日、意外なところから着想を得ます。
それはなんとインク内蔵式のネーム印でした。考えてみればスタンプ部分はゴムのような素材でありながら、常に適量のインクが出てくるのです。
インクはどこから来るのか? それはゴム印部分の上部からスタンプ部分の素材を浸透して出てくるはずです。調べてみるとハンコのスタンプ部分には無数の孔があいていて、吸水性は抜群だということが分かりました。
導水パッドとしての条件を満たしています。すぐに検討を開始して、耐久性や吸水性のベストバランスを見出しました。
吸水するフォーム材が見つかった後は、それを用いて吸水できるクッション素材を創り上げていく段階です。
フォーム材は思った以上に張りコシが強いため、適度なクッション性を持つフォームと組み合わせることで、パッドとして快適に使用できるよう工夫をしました。
ただし、導水パッドの機能は純粋に水分を通すことだけで、拡散性や速乾性はありません。単純にドライレイヤー®の生地にパッドを付けただけでは、多量の発汗をしたときにパッドを通過して外側に出た汗がサドルとの圧によって肌側にまた戻り、お尻がベタベタになってしまいます。
それを防ぐために、吸汗拡散性に優れるベースレイヤーの生地をパッドの上と下に2層重ねることにしました。
汗処理を促すための独自の5層構造パッド
肌側から順に、
という5層構造「リンクドライ®パッド」が出来上がったのです。
また、背中からの汗が落ちたときの不快感を防ぐために、最外層のベースレイヤー生地は臀部を広範囲で覆うように配置。それに対してパッドとフォームはサイズを小さく改良していきました。
ここもまた従来のパッド付きサイクルショーツとの違いになっています。
吸汗拡散生地は広く、パッドは大きすぎないサイズで配置されている
ロードサイクリングだけならクッション性を追求した大きなパッドのショーツでも構わないのですが、私たちは自転車を漕ぐだけでなく沢登りや登山を織り交ぜて遊ぶことも多いので、自転車を降りた後そのまま別のアクティビティを開始した際にパッドが大きすぎると行動の邪魔になるのです。
必要十分なクッション性は備えながらも、大きすぎないパッドサイズ。
ベストバランスを探って何度も施策を繰り返し、見つけた最適解がこのドライレイヤー®オールロードショーツです。
また、一般的にサイクルショーツのパッドはずれないように接着してあることが多いのですが、この手法をリンクドライ®パッドに使うと各層の間に薄い接着剤の膜ができて、スムーズな汗処理を阻害してしまいます。
汗処理性能を活かすため、接着剤は使用せず縫い留める仕様に
だから接着ではなく縫製で縫い留めることにこだわりました。これには細かな縫製仕様が必要になり、国内縫製だからこそ実現できた仕様となっています。
オールロードバイクで森の中を駆け抜け、溪谷歩きや登山、パドルスポーツまで、アウトドアでの遊びに欲張りな人たちに向けて妥協せずに創り込みました。
より快適なパッド付きショーツでみなさんもぜひ幅広い自転車遊びを楽しんでください。
(finetrack スタッフ 田中・相川)
「既存のものに満⾜しない」そんな思いから汗処理を追求したサイクルインナーショーツ。汗を外へと押し出す構造のパッドが今までにない汗処理能⼒を実現。あえて薄⼿のパッドとすることで⾃転⾞と他の遊びで着替える必要がなく、シームレスな遊び⽅が可能です。