DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 衣川 佳輝

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スタッフの遊び記録
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日本三霊山の一つに数えられる白山。その山頂に至る信仰の道は「禅定道」と呼ばれ、古くから白山の裾野を分ける美濃、越前、加賀それぞれの国の人びとに歩かれてきた。その3本の禅定道を自転車を担いで歩き始めたのが1年前。何人かで始めた禅定道担ぎツアーだったが、今回は1人で越前禅定道の小原峠区間へ向かった。

行程:越前大野駅-小原林道-小原峠-市ノ瀬-白峰-勝山駅

■アクティビティ日:2022年5月21日~5月22日

このツアーの始まりは、2021年の夏に「白山禅定道に行かないか」と、友人に声をかけられたところからだった。禅定道とはそもそも何なのか?から始まったツアーだったが、白山の歴史を知り、道を知り、歩いていく中で、より白山のことが好きになっていった。

その夏、美濃禅定道・加賀禅定道を担ぎ、次の年越しで越前禅定道を小原林道まで進んだ。今回はその続きで、小原峠越えに向かった。


禅定道概念図

白山山域には、動植物の生息・生育環境の悪化を防止するため車馬の乗り入れが制限されている地区がある。そのため、行程のほとんどを自転車に乗らずに担いで歩く「担ぎ」というスタイルで進めた。また、可能な限り人のいないシーズンや時間帯を狙った。

恐竜博物館を過ぎたあたりにある神谷の水

土曜の朝、ゆっくりと越前大野駅を出た。まずは小原林道に向かう。雨がぱらついていた。

禅定道を一緒に担いでいた友人を誘ったが、日程が合わず、今回は久しぶりのソロツアーとなった。ソロツアーはたまにやるが、やるたびに次は誰かと行こうと思う。そして雨のライドもたまにやるが、同様にやるたびに次は晴れている日に走ろうと思う。ただ、ソロであろうが天気が悪かろうが、ツアーに行こうと思った時に行くことを大切にしている。

滝波川。イワナがいた。残念ながら禁漁区であり、竿も持ってきてはいない。

沢に下りたり寄り道しながらゆっくり進んだ。時間的にも砂防堰堤的にも沢沿いを担ぐことはできず、最終的には小原林道を素直に登った。冬に半日かけて歩いた林道は、雪のない季節に自転車に乗ると一瞬だった。

小原峠に向かう登山道

小原林道終点地点から小原峠までは歩きやすい道だった。誰にも会うことなく進んだ。道の途中には、禅定道の古い道標や「伏拝」といった地名、小原峠には壊れた祠があり、白山が古くから信仰の山であることがわかる。

自分自身、特別白山に信仰があるわけではなかったが、禅定道を調べ、担ぐうちに白山は他の山よりも特別で、思い入れのある山となった。そういったところからも信仰は生じてくるのかもしれない。

峠を越えた先

小原峠からは雪が残っており、踏み抜いて雪渓の下に落ちないように気を付けた。現行の登山道は割と巻いていたが、禅定道を開いたとされる泰澄は沢沿いを進んだのだろうか?この時期は、残雪でザクザクの沢沿いを進めそうになかった。

川上御前。扉の鍵は閉められていた

林道に復帰し、開けた場所でカミナ®モノポール2を設営

西俣谷川沿い作業道復帰地点に出たところで雨が本降りになってきた。このまま走りだせば終電に乗って神戸に帰れるなと思いながらも、カミナ®モノポールを張った。

雨音を聞きながら、白米を炊き、付近に大量に顔を出しているフキノトウを少し摘み取り、茹でて食べた。輪行用に持ってきた本を読み、眠りについた。

西俣谷川沿いの気持ちの良いグラベル

夜の雨は翌朝には上がり、澄んだ空気の中、グラベルを走って市ノ瀬に向かった。山の朝の澄んだ空気を吸いながら、自転車を漕ぐのは気持ちが良い。

越前禅定道、市ノ瀬からの登山口

越前禅定道の最終区間の登山口を確認し、今回の行程はこれで終了。白峰温泉に入り、勝山駅から輪行して神戸に戻った。温泉割引券がもらえるということで寄った白山砂防科学館が予想以上に見応えがあった。

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【これまでの白山禅定道ツアーについて】

以下、過去と後日行った続きの白山禅定道ツアーの紹介

①2021年夏、美濃禅定道と加賀禅定道の縦走
終電の関係で岐阜駅から走り、石徹白手前にある長瀧白山神社に参ったのちスタート。いくつもの山頂を経て、最後は厳密に祓川を下り、白山比咩神社まで走った。自転車を担ぎ、押し、走りきった4日間だった。

②2021-22年越し、越前禅定道(撮影:戸上)
年末に白山平泉寺に参ったのちスタート。序盤は高い気温と雨に苦しめられ、その後は大雪となった。途中小原林道まで出たところで時間切れとなり撤退した。寝ている最中に雨でイグルーが崩壊したり、起きると自転車が降雪で完全埋没していたりとおもしろい年越しだった。今回のfun to trackはこの続き。

③2022年6月。今回のfun to track。

④2022年11月、越前禅定道
中途半端な降雪後の人がいない平日を狙い、越前禅定道最後の区間へ。「禅とは何なのか考えながら登った」と書きたいところだが、別の登山から繋げてきたこともあり肉体的にしんどく、「なぜ自転車を担いでいるのか」と思いながら登った。誰もいない白山室堂は少し新鮮で、これまでの禅定道ツアーを思い出し、御前ヶ峰では心が引き締まった。

2021年夏から始めた白山禅定道だったが、どの季節の白山もよい白山で、どのツアーも思い出深いツアーだった。禅とは何か?禅定道に行こうと誘ってくれた友人は、禅とは「ひたむきに進むこと」と解釈していた。一通り禅定道を歩いたが、これからも禅とは何かを探るために、自分は白山に行こうと思う。

 

遊びのMVPアイテム

自転車を担ぐ時はできるだけ荷物を軽くしたい。とはいえ、快適な居住性も欲しい。カミナ®ドームも持っているが、ソロや二人で山に向かうときは、夏でも冬でもモノポールを持っていくようになった。
他に役立った装備としては、半分雨の中での行動だったこともあり、エバーブレスフォトンジャケットとエバーブレスレグンパンツも活躍した。

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