翻訳家で、フォトグラファーカメラマンで、旅人。たくさんの顔をもつ鈴木千花さんは、登山を「旅」のようだといいます。そんな山での「旅の宿」として愛用しているのがカミナドーム。これまでのテント泊登山の話を聞いているうちに、カミナドームの快適さがみえてきました。
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いまではクライミングやバリエーションルート、雪山登山など幅広く山で遊んでいる鈴木千花さんですが、それまではバックパックに荷物を詰め込んで海外を旅するバックパッカーでした。そんな旅の延長線上でキリマンジャロに登ったり、ヒマラヤをトレッキングしたりしていたといいます。
本格的に登山を始めたのは長旅から帰ってきた2017年。紅葉を求めて晩秋の谷川岳に登ったとき、様々な人と触れ合い、壮大な景色に高揚した非日常的な濃い冒険に「旅」が重なり、山のとりこになったといいます。
なんとその一か月後には、旅仲間に誘われて南アルプスの鳳凰三山をテント泊登山。当時を振り返るとありえない服装と装備だったと笑いながら話す鈴木さんですが、ここから山にのめり込む日々の始まりとなります。
ーいきなり鳳凰三山でのテント泊登山デビューに不安はなかったですか?
それまでにも山には登っていて体力には自信もあったから、不安はなかったですね。ただ、季節は初冬ですごく寒かったです。自分のなかでは旅の延長だったので、いま思うと山に登るためのウエアではなかったなと、、、山岳用のテントや寝袋ではなかったので、ちょっと反省ですね。
ー寒くていやな体験で登山がイヤになりそうですが、、、
でも、楽しい思い出しかないんです。山の上に泊まるからこそ見れる景色には心惹かれました。夕焼けに染まる山の時間、朝日に照らされていく山肌に、夢中でシャッターを切ったのを覚えています。
旅仲間と山を登ったこともおもしろかったんですが、唯一のほかの登山者との出会いも、まさに「旅」って感じでしたね。山小屋は営業終了していて誰もいない静かな山と思ったテント場で、ですよ。その方と一緒に肉パーティーをしたのも、いい思い出です。
ー装備で寒い思いをした初テント泊でしたが、いまは山道具にこだわりはありますか?
快適さを高めてくれるものを選んでいます。期間の長いテント泊はニオイも気になるのでベースレイヤーとか靴下は着心地のいいメリノウールのものにしたり、下着は汗冷えを軽減してくれるドライレイヤー®を着ています。
ーちなみにテントは?
初めてのテントは非自立式のシェルターでした。とくにこだわりがあったわけではないんですが、軽いからいいかなと。でも、設営が手間だったり、岩場で不安定だったり、本当に寝るためだけの空間だったので着替えもストレスでしたね。
遊ぶフィールドに合わせてテントの選択肢を増やしたくて、カミナドームを手に入れました。
ーたくさんあるテントの中で、カミナドームを選んだのですね
2つめのテントは、居住性のある安定したダブルウォールがいいなと。カミナドームは山仲間にも使っている人が多くて、評判の良さも聞こえていました。
あるとき仲のいい山仲間2人といった涸沢カールで、わたしが非自立式を立てるのに苦戦している横で、その2人共がカミナドーム2をパッと立てたんです。テント内の広い居住空間と、2人用なのに1人用とほとんど変わらない軽さに、「これだ!」と思いました。
ただ、当時は1色しかなく、色が被るのを迷っていたところに新色のグリーンが出たので、即決でしたね。
ー実際にカミナドームを使ってみて快適でしたか?
天井が高くて広いので楽に着替えができるし、カメラ機材を置けるスペースが十分あるのに軽いのがいいですね。お弁当箱型の収納袋もとってもいい。ぎゅうぎゅう力を入れて押し込まなくても収納できるし、バックパックにもパッキングしやすいので、とても秀逸だと思います。
あと、日本製っていう安心感。なにかあったときの修理対応など、しっかり対応してくれるのはいいですね。
ーいいところだらけのようですが、改善してほしいポイントは?
とくにはないんですが、あえて言うならば2つあります。まずは、オプショナルロフト(別売アクセサリ)を付けたまま収納しても外れないようにしてほしいです。毎回取り付けるのは手間で、失くしたりもするので。もうひとつは、テント内にヘッドランプなどの小物を入れられる大きめのポケットがあると、便利でもっといいですよね。
ーこれまでで印象的だったテント泊登山を教えてください
目標だったバリエーションルートの剱岳チンネ左稜線を登ったときは、やりきった感があって印象に残りましたね。山行自体もそうですが、ビバークポイントの熊ノ岩からは、劔岳エリアの岩と雪のパノラマが広がっていて、とにかく素晴らしかった。「あぁ、憧れの場所に立っているんだ」って。チングルマもたくさん咲いていて、夕焼けもきれいで。
でも、悪天に捕まっちゃって3日間も停滞を強いられたんです。このときもカミナドームだったんですけど、2人でも背筋を伸ばせて向かい合って座れるほど、広い居住空間だったので停滞生活も苦ではありませんでした。台風並みの強風にもしっかり耐えていたので、安心感もありましたね。
ー熊ノ岩は素晴らしそうですが、一般の登山者でも行けるおすすめのテント場はありますか?
剱沢キャンプ場は稜線のような解放感があって大好きです。どこに張ってもデデンっと存在感のあるかっこいい剱岳が目の前に見られるので、場所取りのために焦って行く必要はないし、テント泊登山が初めての人でも難しい道ではないので、みんなハッピーでいいですよね。
ーこれから旅したい山はありますか?
大雪山の旭岳から黒岳のお鉢巡りをしたんですけど、アルプスにはないスケールの大きさに圧倒されました。天気が悪かったのであまり歩けませんでしたが、あっちの大地までもっと歩いてみたいと思わされる大自然でした。
登山者も少ないので、ゆっくり写真も撮れそうですし。大雪山系の雄大な稜線を、広い快適空間のカミナドームを宿にしながら縦走したいです。利尻島や知床半島もいいですよね。とにかく、北海道の大自然に入り浸りたいです。
構成/文 大堀啓太
撮影 金田剛仁(ハタケスタジオ)
【お話を聞いた人】
鈴木 千花(すずき ちか)さん
ほぼ旅人生だった20代。世界100ヶ国以上の景色を見てきたあと、山を通して改めて日本の自然に触れ、フォトグラファーとしてその素晴らしい魅力を発信。器用貧乏で飽きやすいタイプだが、登山は一気にのめりこみ、今では生活の一部とも言える存在に。
「日本の山岳環境で思う存分に使い倒せるテントが欲しい」。そう切望したfinetrackならではのアプローチで、最高レベルのコンパクト性と軽量性を実現しながら、強度も耐久性も広さもあきらめない、ストレスフリー仕様の国産テントです。自立式のダブルウォールで4シーズン対応。