DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 衣川 佳輝 ■写真:衣川&加藤&浅田

CATEGORIES
スタッフの遊び記録
ACTIVITIES

極夜とは…極圏において一日中太陽が昇らない期間のこと。

今回、年越しで北海道に行った目的は、近いうちに冬期の北極圏を自転車で走るために、装備や動き、考え方をメンバー間で共有するためである。
自分たちが行こうとしている場所は12月~1月の期間は極夜にあたるため、今回の年越し北海道では極夜を想定して、昼夜逆転で最低でも5日間以上は暗い中のみを走ることとした。

■2022年12月27日~2023年1月3日

■12月27日(移動日):旭川駅→(輪行)→名寄→(自走)→天塩中川


北海道の主な道路はしっかり除雪されており走りやすい

12月25日~26日に先に現地入りして十勝岳に登った後、稚内でメンバーと合流するため27日は移動日だった。

旭川から稚内までの輪行予定だったが、雪の影響で宗谷本線が名寄以北の運転を取りやめていたため、自分は名寄から、既に稚内にいるメンバーは稚内から宗谷岬へ寄り道したのち走り、中間の幌延あたりで合流することになった。この日は名寄から天塩中川まで明るい中走った。


合流後、明るい中をスタート地点まで向かう。太陽が名残惜しいが、そもそも曇っていて太陽は見えなかった。

 

■12月28日~29日(昼夜逆転①):天塩中川→幌延→(合流・買い出し)→石油温泉→知駒峠

幌延でメンバーと合流し、食料等の買い出しをした。その後、気になっていたトナカイ牧場に寄り、石油温泉に入り、昼夜逆転ツアーをスタートした。

※石油温泉…石油を掘り当てようと掘っていたら出てきた温泉。温泉はガソリンの臭いがし、お湯にも油が浮いている独特な温泉。入ったあとは体が少しガソリン臭い。これから数日風呂に入らない状況で、最後に入るべき温泉だったのかは不明だが、良い温泉だった。


暗くなった後、行程をスタート。変速系のトラブルで小休止。

この日は、融けた雪が昼の移動中に自転車についたこともあり、変速系のメカトラブルがあった。想定している極圏では極低温のため、そもそも水がはねて凍り付くような場面はほとんどないが、北海道では昼間は液体の水がそこら中にあるので、付着した水が凍りつきトラブルになりやすい。

深夜3時頃テントを張り、朝飯(晩飯?)を食べ、明るくなる前に就寝した。


1時間に1回程度は休憩し補給する。極低温を想定してこまめな補給を心がけた。


道路わきの除雪の壁を越え、さらに奥の平らな場所でテントを張る。日中静かで、日が当たらない場所が好ましい。

 

■12月29日~30日(昼夜逆転②):知駒峠→美深中頓別線と上音標音標線合流地点付近

主要道路ではなく、除雪されていること自体が不思議な道を選んで走ったため、すれ違った車は2台程度だった。なお、そういった道は朝しか除雪が入らないようで、日中降雪があり積もると、夜に行動する我々にとっては非常に走りにくくなる。


トンネル内は明るい。

 

■12月30日~31日(昼夜逆転③):→サンルダム


サンルダム。夜に行っても暗くて全容は分からない。

メンバーの一人がダムカードを集めており、どうしてもダムカードが欲しいとのことで、サンルダムで行程を終えた。距離としては短めだったが、ダムの奥の方でテント泊し、夕方一度起きてダムカードをもらいに行った。

サンルダムは日本で5つしかない台形CSGダム(cemented sand and gravel)だそう。また、サンル川は沙流へ通じる川という意味である。

日中(寝ている間)にそれなりの降雪があると、出発前に自転車を掘り起こす必要がある。


どの程度明るければ走れるのか。また、充電池が良いか乾電池が良いか、電池持ちはどうかも確かめる。

 

■12月31日~1月1日(昼夜逆転④):→岩尾内湖畔

年越しの瞬間も自転車の上にいたのは初めてだった。1月1日深夜1時頃に休憩で立ち寄った小さな神社は明かりが灯っており、境内の建物の中におじいさんおばあさんがいた。お神酒をいただき、年越しを感じた。

岩尾内湖の上でテントを張ろうとしたが、全く氷結しておらず、歩くとずぶずぶと沈んだため、陸の上にテントを張った。

 

■1月1日~2日(昼夜逆転⑤):岩尾内湖畔→道の駅当麻

昼夜逆転ツアー最終日。深夜2時過ぎ頃に道の駅当麻に到着した。明るくなるまで仮眠したのち、旭川で温泉に入った。時間もあるため映画でも見ようかと話していたところ雪の影響でまたしてもJRが止まり始めたため、急いで新千歳へ向かい、あわただしくツアーを終えた。

 

******************************
■食事について


※テント内で火器を使う際は十分に換気した。

食事は現地で手に入るものを想定した上で、簡単に作れること、美味しく毎日食べられること、十分なカロリーが取れることが重要。

ペンネ 150g~200g/人、肉 200g/人、バター 20g/人を一食の基本として、塩胡椒で味付けしたものがベースとなった。これにニンニクやコンソメや鶏がらスープ等で少しずつ味を変えて食べる。毎日同じだが、意外と飽きずにおいしく食べられる。現地ではここにトゥシェンカ(肉の缶詰)を加える予定だ。また、別途ビタミン剤も持っていく。

******************************

今年の年越しツアーも充実したものになった。「装備や動きや考え方の共有をメンバー間でおこなう」という目的はある程度達成できた。装備関連の改善点もいくつかあり、出発までに取り組む必要がある。

やることは多いが、来年か再来年の年越しで計画している北極圏へのツアーが待ち遠しい。

 

遊びのMVPアイテム

ポリゴンテントシューズ

走行中足元はVBLと極低温対応の防寒靴なので、テント設営後は走りだす前までテントシューズで過ごす。テント内では持ち込んでしまった雪や自炊等(鍋をひっくり返してしまったり)で液体の水分が存在するが、ポリゴンテントシューズは強い撥水性に加え、多少の濡れでは保温力が落ちないので長期のツアーでも安心して使える。膝下まで足口を絞れば、雪が深くてもテント外での活動も可能で便利だ。

ポリゴンテントシューズの商品情報へ

 

ACTIVITIES