DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 岡嶋 芽

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スタッフの遊び記録
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どうやら、雪山の世界には「キノコ雪を崩しながら登る」遊び方があるらしい。その世界の片鱗に触れるため「行ってみたいです!」と声を上げた。いざ、白山・前衛峰の一つ三方崩山 大ノマ谷 第3岩稜へ。

■アクティビティ日:2023年3月4日~2023年3月5日

今回のメンバーは3年連続で三方崩山に通うキノコ雪の大先輩に、毎週雪山に入っている強い女性の先輩、雪山2年目の新人の私のため、足を引っ張らないよう必死に食らいついた。

1日目は晴れ。6時に道の駅を出発し、平瀬林道からアプローチ。ほとんどアスファルトが出ていたので、大ノマ谷出合までは1時間程度で済んだ。

去年はフルラッセルだったと聞いていたので少し拍子抜け。

デブリを抜けていく、あともう少し

これ以降はデブリだらけの大ノマ谷をひたすらに登っていく。先輩方はサクサク登っていくが、スピードについていけず、少し後ろを必死になりながら登る。

標高を600m上げ、目的の尾根到着。

初キノコ雪のため、リードは全て先輩に任せてフォローで登る。

1ピッチ目、見た目は簡単に登れそうなので意気揚々を登りはじめるものの、リッジに乗り上げるところが立っている。雪が腐り気味だったので、ズリ落ちないように足場を作りながら慎重に登っていく。

登攀開始!心が躍る瞬間だ。

2ピッチ目、雪壁を上がると灌木が出てくる、木が沢山あるから安心だ!と思いながら登るも傾斜もあり、雪と木が混じった足場がまあまあ悪い。何とかしがみつきながら木登りエリアを抜ける。


登れそうに見えて、足場が悪い。

3ピッチ目、覚えていない。やや傾斜の強い雪壁を必死になって登った記憶がかすかにあるくらいだ。

4ピッチ目、噂のキノコ雪が姿を現す。既に先輩が切り開いてくれているので、楽々歩けたが、リードだったら切り崩しながらの登攀になるため難しそうだ。


隣の尾根にも魅惑のキノコが

5ピッチ目、まだ明るいものの時刻は16:00を回っている、過去の記録ではこの先に幕営適地があると書いていたので、登攀を続けることに。しかし、先はナイフリッジだったようで、ロワーダウンでビレイ点に戻ってくる。

ビレイ点のテラスは幅もなく、切り崩せそうにないので、支尾根が派生している右側を切り出してテントを張ることに。

私は「まじか!ここに張るんだ!」と今までの経験にはない体験に驚くとともに少しだけワクワクした。

それも束の間、ロープで確保しながらの切り出しは、「怖い」と「疲れた」という感情が交互に押し寄せ、いつも以上に体力が削られていく。

ようやく4人用テントが張れる場所を確保し、テントの設営を試みるもアイゼンを脱がなければテントを立てられない。でも、アイゼンを外して滑ろうものなら、崖の下。

FIXロープを水平に設置し、セルフビレイを取ながらテントを設営。無事に張り終える頃には、少し暗くなり始めていた。

イカしたテント場

夜は鍋で暖を取りながら、明日はどんなルートだろうと話が弾む。

今日の登攀の興奮冷めやらぬまま、眠りに付こうとしたところ、尿意に襲われる。トイレに行くのも危ないため、念のためチェストハーネスを装着し、FIXロープを伝って向かう。これほど危機感のあるトイレは初めてかもしれない…

疲れからか、寒さに起こされることもなく朝を迎える。

 

5ピッチ目続き:2日目も晴れ。気分も上々。ロープを張りっぱなしだったため、スムーズに進む。

「確かに。ここは昨日は通りたくなかった」と思うほどのナイフリッジを抜ける。昨日の先輩の判断に心の中で大きな拍手を送る。

キレッキレルート

6ピッチ目、両側が切れている。思わず「え。こわっ」と呟く。先輩の足跡が背中を押し、慎重に歩みを進める。

7ピッチ目、思ったよりロープが伸びぬまま、コールがかかる。登っていくと正面がギャップになっている。どうやって突破するか相談したのち、空中懸垂が良いのではとなったものの、あたりに支点はない。ということで、土嚢空中懸垂に決定。

このままロープを伸ばせると思ったものの…

やり方は知っているものの、実際にするのは初めて。先輩の指示に従い、しっかりとセット。

リーダーが「先に降りますね」と一言。じわじわとルーフの縁に向かう、もう少しかなと思ったところで、姿が消える。

私の感覚的には「落ちた!」だ。一瞬時が止まった。

下から「着いた!土嚢を3m後ろに下げて!」という声が聞こえる。

後から聞くと、降りようと思っていた場所に地面はなく、足が付く場所に移動したとのことだ。捨て縄が雪を切り、ルーフ下に顔を出していたらしい、ということは土嚢は雪庇の上だった…? 怖すぎる。

指示に従い、土嚢を埋めなおす。次は私だ。ドキドキしながら、いざ懸垂!

怖すぎる。先頭なんて到底無理だ…

雪庇が崩れた!足が浮いた!顔に雪が!と気持ちはワタワタするも平静を装いがら下降。

着地してからで盛大なミスを犯していることに気づく。ジャケットのファスナーが開いている。大量の雪が服の中に入ってしまった…

そんなこんなで、3人とも無事に安全なところに戻り、再び登攀開始。

恐る恐る確実に登る

8ピッチ目、岩峰のスノーリッジを慎重に登りながら進むと、いかにも悪そうなトラバース。「慎重に、慎重に」と心の中で唱えながら進む。

一ヵ所、木で取った支点が、身長がやや足りずで回収に苦戦したものの無事に抜ける。

終わりを予感させる雪壁

9ピッチ目、もう少しで終わりかなと思わせる雪壁、気温で緩んでいるものの、難なく抜ける。この辺でようやく急斜面の歩き方をつかんだような気がする。なんて思いながら進むと藪が目の前に現れる。「あれ?思っていたのと違う」

10ピッチ目、この藪どうやって抜けるの?と思いつつも先輩のルーファイを見守る。

藪を突っ切るように進んで行くも、行く手を雪壁が阻む。木で体勢を維持しつつ雪壁を削っている。これが雪を崩しながら登るということか!と感心する。

続いて登るが、かなり悪い。木に足を乗っけるものの、アイゼンが滑る。

道を作ってもらったところを登ろうとするも、足を信用しきれずに苦戦。

「怖さ」と「焦り」でどっと汗が噴き出す。深呼吸し「いける」と唱えながら乗り上げ、無事に通過。

頼もしさに羨望の眼差し

終わりかと思っていたが、目の前に巨大な岩峰が現れる。「まじかー!」と心の中で叫ぶ。ビレイ中の先輩も笑っている。

既に時刻は11:30、登ることもできそうだが、登れば2ピッチ以上はありそうで全貌も把握できない。

頂は遠く、巨大な岩峰が目の前に

帰るのが遅くなるのは確実だし、既に充実感たっぷりだし、エスケープルートが目の前ということで、下山を決定。

下降はなんと15分!あんなに頑張ったというのにあっという間に取り付きに到着…

三方崩山の岩稜帯を眺めながら、大ノマ谷を下る。

 

怖さが楽しさを勝る瞬間もあったが、初めて経験することも多く、終始ワクワクしっぱなしの2日間でした。こんなにも楽しい山の登り方を知ることができ、山の奥深さと開拓した方々の冒険心に心を打たれました。

今回の山行は全てフォローでの登攀だったため、「リードできるくらい強くなって、第1~第4岩稜全て登ろう」と決意し、三方崩山をあとにした。

遊びのMVPアイテム

ドライレイヤー®ウォームブラトップロングスリーブ

ブラとインナーを重ねて着る。ドライレイヤー®を知るまではそれが当たり前だった。でも、何枚も重ねるとどうしても動きに制限がかるような気がする…。この商品は、そんな女性特有の悩みを解消してくれる。1枚でブラ、汗処理、保温の機能を兼ね備えており、なおかつブラカップが独立構造のため、締め付けが少ないのも嬉しいポイント。雪山には必ず着ていくアイテムだ。

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