DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 片岡 美菜 ■写真:片岡・菊池

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スタッフの遊び記録
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「クマと我々しかいないような、そんな北海道の山を案内してほしい」
楽しみにしていたGW連休、先輩からの素敵な誘いを受け、我が地元 北海道へ遠征。
スタッフ菊池は入社こそ数か月先輩だが、北海道歴に関しては私の方がはるかに先輩だ。こうなったらなんとしても期待に応えたい。直前まで天気とにらめっこし、選んだのは残雪の知床半島 羅臼岳。お望み通り、まさにクマの住みかの山である。

■アクティビティ日:2023年5月1日~2023年5月2日

スタッフ菊池は初めての知床。一方、私にとって羅臼岳は高校山岳部の全道大会で登った思い出深い山である。約10年ぶりの再訪に胸は高鳴る。

今回は岩尾別温泉から登り、羅臼平で一泊するのんびりしたプランを選択。しばらくは雪のない登山道を黙々と登る。やがて傾斜は緩やかになり極楽平へ。


振り返るとオホーツク海

快晴の下、平坦で視界の開けたルートをゆったり歩いていると突如足元に人間のものとは明らかに異なる大きな足跡が…そう、ヒグマだ。

山親爺の足跡、デカい…

いるとはわかっていたものの、いざその存在を感じるとやはり怖い。

どうか出会いませんように…腰につけた熊よけスプレーを確かめつつ、時折我々の存在を知らしめるよう大きな声を出しながら、歩みを進めた。

ヒグマの気配に怯えつつ進むも、長い登りに段々と集中力は切れ、足取りは重くなる。食料や酒がたっぷり詰まった重たいザックがどんどん恨めしくなる。

やっとのことで急登を登りきると、岩清水に到着。


根室海峡、その向こうには北方領土!

左手にはオホーツク海、正面には知床連峰の山々。右を見れば根室海峡、さらにその向こうには北方領土の国後島が。雄大な景色に重かったザックを放り投げ二人で歓喜した。

この景色に二人ともすっかり満足し、この日はピークを踏まずのんびりテン場へ向かった。


彼方に北方領土が見えるテン場

羅臼平は誰もおらず貸し切り状態。せっかくなら景色のいいところにテントを張ろうと、目の前に根室海峡が臨める遮るもののない場所にテントを設営。しかしこのチョイスを翌朝激しく後悔することに…。

夜中、日付が変わる頃から猛烈な風の音で何度も目が覚める。テントは大きくたわみ、テント内は通常時の半分ほどしか空間がないほどの狭さに。調子に乗ってこんな吹きさらしの場所にテントを設営したことを反省した。


暴風でたわむテント、あたりは真っ白

昨日まで見えていた景色はどこへやら、ホワイトアウト状態。思わず撤退が脳裏をよぎる。しかし晴れ予報を信じ、ピークを目指すことに。

歩き始めて30分ほど、突如雲が切れ日差しが注ぎ、明るくなる。顔を上げると視界の向こう、オホーツク海に雲海がかかっているのが見えた。

待っていたのはこの景色だ。あれ!見て!感動を伝えようと声を上げるも風が強すぎて互いの声が全く聴きとれない。しかし二人ともバラクラバの下は満面の笑みだ。

青空のもとピークを目指す

天気が晴れれば足取りは軽い。ピークを目指しぐんぐん登っていく。

山頂直下の岩稜帯でアイゼンをキャンキャン言わせながらよじ登ると、一気に視界が開け、待ち望んだピークだ。


ピーク!寒い!

あまりの美しさに息を呑んだ。

眼下に広がるのは雄大な知床連峰の山々とはるかに広がる雲海。さすが世界遺産だ。

山頂は立っていられないほどの風で一気に体温が奪われる。美しい景色に後ろ髪引かれつつ下山した。


朝日に照らされる根室海峡を眺めながらの下山

本州の日本アルプスのような急峻な山容とは異なり、裾野が広く懐深い、そして手つかずの自然が今もなお残る北海道の山々がやっぱり好きだ。次はいつ帰ってこられるだろうか。また来る日を心待ちに、関西への帰路に就いたのだった。

 

遊びのMVPアイテム

ドライレイヤー®インナーソックス

残雪登山の足元はいつも悩ましい。雪面でアイゼンを装着することを考えると保温性の高い冬用登山靴を選択する必要があるが、雪のない登山道を歩く際には靴の中は蒸れてしまう。そんなシーンでもこれを一枚レイヤリングすることで、足は常にドライな状態を保つことができた。気温や足元の状況が大きく変化しやすいこの時期の登山では、縁の下の力持ちとなるアイテムだ。

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