DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 阿部 禅 ■写真:阿部・山下

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スタッフの遊び記録
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「気持ちよく稜線を歩けそうな山で、初めての場所を歩いてみたい」と思い、人生初となる南アルプス南部で周回できるコースを検討。2泊3日で歩けて、最終日は余裕をもって温泉にもつかれる行程にしたいと考え、荒川岳~赤石岳に決定。社内で旅の相棒を募り、週末を迎えた。

■アクティビティ日:2023年7月15日 ~ 2023年7月17日

金曜日の仕事終わり、旅の相棒と共にコーラを片手にタコスを頬張りながら、入山前の最終確認を行った。天候は初日がやや悪いが、2日目以降は晴れる予報。3,000mの稜線散歩を楽しめそうであると、期待に胸を膨らませながら車を走らせる。

入山当日の早朝、出発点となる畑薙ダム手前の駐車場に到着。予想通り厚い雲に空が覆われている中、自転車を準備する。

畑薙ダムから椹島までは自転車である。当初は畑薙ダムからバスで向かうつもりであったが、山小屋宿泊の予約が取れずバスが使用できなくなったため、ならばと椹島までは自力で入ることにしたのである。雨も降りだしてくる中、小さなアップダウンが続く道を2時間程走ると椹島に到着。自転車をデポし、初日の宿泊地・千枚小屋に向けて徒歩にて前進開始。


先日までの降雨の影響か沢の水量も多い。翌日の澄み渡る青空を期待し「今日はしょうがない」と胸中呟く。

眠気に襲われながらも黙々と歩く。予定通りに14時前には千枚小屋に到着し、幕営準備を始める。今回の宿はツエルト。これまでビバーク訓練等でお世話になることはあったものの、実は初のツエルト泊山行。設営してみると想像以上に広くて快適。ガイラインをしっかり張ることで、グラつきもなく安定している。

景色を見渡すと富士山が見え、翌日の稜線歩きへの期待が高まる。夕食はアルファ米とレトルトチーズハンバーグに味噌汁。チーズハンバーグが食欲をそそる。もちろんオン・ザ・ライスで頂く。

初日は速やかに就寝。ツエルトも快適で爆睡。


ワクワクで設営してみたものの上方向への張りが甘く、やや不細工な形状になってしまった。


幕営準備が終わるころには雲が切れだし富士山がコンニチハ

2日目は、空が明るくなる頃に千枚小屋を出発。程なくすると千枚岳に到着。ガスのため展望なし…。気温の上昇に伴いガスが晴れてくれるのを祈りつつ、荒川岳へ歩みを進める。「ま、まだ朝だし…」と期待していた快晴の稜線歩きのイメージと、現状の乖離に動揺しつつ、自分を落ち着かせる。

登山道は非常に歩きやすく、荷物もツェルト泊装備で軽量のため快調に歩く。あとは、天気が好転してくれさえすれば、最高の稜線歩きになるはず。

荒川岳の一峰、東岳に到達するもガスは晴れず。続く中岳、前岳も真っ白である。残念…。「まだ赤石岳があるさ」と最後の峰に期待しながら荒川岳を後にする。


中岳への登り。正直、この時点で景色については半分あきらめ気味。


荒川小屋から稜線への登り返し中。きれいな高山植物に囲まれながらも青空は見えず。


荒川岳の稜線上で雷鳥に癒される。モフモフでかわいい。

途中、雷鳥や高山植物に癒されながら黙々と歩き赤石岳に到着した。

しかし展望はなく、景色も見えず。期待していただけに、つくづく残念である…


赤石岳からの展望。若干晴れそうであるがやはり真っ白。

後ろ髪を引かれつつも、2日目の宿泊地である赤石小屋を目指し稜線から降りる。するとどうだろう、みるみる雲が晴れていき赤石小屋に到着する頃には青空に。「これはヒドイ」と思いつつも、これまでも私が稜線にいるときだけ天候に恵まれない事案が多発しているのは、ジャンクフードやつけ麺、コーラに現を抜かしているからだと無理やり自分を納得させる。


稜線から降りると辺りが明るくなりだした。


赤石小屋手前の富士見平ではすっかり青空に。歩いてきた稜線を見上げ呆然とする。

赤石小屋に到着した後は、早々にツエルトの設営を済ませ、小屋でコカ・コーラを購入。キンキンに冷えた缶で販売しておりコーラ好きの私もニッコリ、私はビン・缶派なのである。先ほどまで雲の中を歩っていた稜線を眺めながらコーラを一気に流し込む。美味。


赤石小屋のテント場。奥には聖岳がはっきりと見える。

コーラを堪能した後はツエルトで昼寝。贅沢な午後である。

夕食はアルファ米と、レトルトカレーに大豆ミートを入れたなんちゃってキーマカレーと、みそ汁という非常にシンプルであるが、汗をかいた体に塩気が染み渡り美味しい。

この日も早めに就寝。


翌朝にはすっかり快晴。天候の回復がもう1日早ければ…

最終日は早めに出発。山行としては椹島まで徒歩、椹島から畑薙ダムまで自転車で下るのみであるが、温泉でゆっくりした上で神戸に帰らなければならないのである。

歩き始めて間もなく、あたりが薄明るくなってきた。昨日の雲が嘘のように、稜線がはっきりと浮かび上がる。なんだか納得がいかない気持ちもあるが、自然が相手なのでしょうがない。「こんな日もあるさ」と思いながら歩く。

赤石小屋を過ぎると樹林帯に入り、昨日まで歩いていた稜線は見えなくなった。しばらくすると日が昇り、空を見上げると木々の合間から雲一つないきれいな青空が見える。快晴の元、木漏れ日を浴びながら尾根を下った。


木漏れ日がきれいな林。

椹島に到着し、デポした自転車を回収すると畑薙ダムに向け走り出す。初日と同じ場所とは思えないほど景色が明るい。先ほどは「しょうがない」と思ったが、やはり稜線での景色が見れなかったのは悔しい。ただ、最後の最後にきれいな青空を拝むことができたのは幸せであった。


快晴の下、大井川添いの山々を見上げ呆然とする筆者

大井川沿いの景色を楽しみながら自転車を漕ぎ進めると、程なくして畑薙ダムに到着。無事に戻ってこれたことに感謝しつつ、荷物を車に積み込む。この後は下山後のお楽しみ、コーラと温泉とつけ麺である。

当初期待していた晴天の稜線歩きは叶わなかったが、自転車、山歩きを楽しめ、ツェルト泊も初体験、最後に最高の時間を満喫し充実した休日であった。次は快晴の稜線を歩くべく、リベンジに来たい。

 

遊びのMVPアイテム

ツエルト2ロング

非常時用だけではなく、積極的に宿泊に使える居住性を持つので今回のような長い行程や、自転車等の荷物を軽量化したい場面に適していると感じた。テントと比較し、重量もさることながら容積が小さいため、これまでのテント泊装備では考えられない程に軽量コンパクトなパッキングで山を楽しめた。

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