月からでも見える!?超長距離のトレイルランニングレース「グレートヒマールレース」に挑戦される岩崎勉さんにお話をお伺いしました。レースの行程を一言で表すと、ヒマラヤ山脈横断。その総移動距離約1700kmは、山口県から青森県までの本州縦断に相当します。さらに、累積標高差約90,000mは、なんと富士山24座分の高さとほぼ同じ…。考えるだけでも気の遠くなりそうなレースにどうして挑戦しようと思われたのでしょうか?どんな準備をし、どんなウエアで挑むのでしょうか?岩崎さんの素顔に迫ります。
壮大なレースへの出発を間近に控えた岩崎さんが、神戸にあるfinetrackのオフィスにご来社。挑戦への想いを直接お伺いしました。
神戸のオフィス入口にて代表の金山とともに
岩崎さんは、現在57歳のトレイルランナーです。
超長距離を得意とし、2度のウルトラゴビレース(400km)や5度のTJAR(トランスジャパンアルプスレース/415km)も経験されています。
今回の挑戦は、グレートヒマールレース2(Great Himal Race Ⅱ/GHR2)。
舞台はネパールのヒマラヤ山脈。ヒルサ~カンチェンジュンガBCまで総移動距離およそ1,700km、累積標高差約90,000m、所要期間なんと約2か月!最高到達点となる標高は5,755m、4,000m以上での滞在日数は30日間を超えるとのこと。
数字を見るだけでも息が切れそうですが、ネパールの国土を、つまりヒマラヤ山脈を西から東までほぼすべて横断する、途方もない規模の超長距離トレイルランニングレースなのです。
その桁違いなスケール感から “The race that can be seen from the Moon = 月から見えるレース “ とも呼ばれているほどです。
レース自体は約1,500km(1,000マイル)で、2024年4月9日~5月31日までの51日間となりますが、さらにその前後のトレッキングに約160km、約1週間を要します。
レース前後のトレッキング? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、舞台は標高5,000m超の峠を何度も超えるヒマラヤ山脈。レースはもとより、そのスタート地点へ行くにもゴール地点から帰るにも、最寄りの公共交通機関のある町まで何日もかけて歩く必要があるのです。
今回お持ちいただいた自作の地図(15万分の1)も、これまで見たことのない長さでした。
行程を見るだけでいかに途方もない挑戦であるかが感じられますが、ご本人は「未知への挑戦に対するドキドキ感でいっぱいです」と、さらりとおっしゃいます。
※(4.25更新情報)岩崎さんは途中で体調を崩されて、一時離脱されていますが、挑戦は継続中です。
横長のテーブルを2つ半使ってまだはみ出る地図の長さ…
下記、インタビュー内容をお届けします。
― 素晴らしい挑戦ですね。今回挑戦される動機を教えていただけますか?
ありがとうございます。2016年にTJARを完走し、次は海外のトレイルに挑戦したいと思うようになり、自分に残された時間と体力面や経済面を考えた結果、いろいろ行き先がある中でまずヒマラヤが頭に浮かんだんです。当初は漠然としたものでしたが、グレートヒマラヤトレイルが紹介されたTV番組を見て、これを踏破したい!と具体的なイメージが見え始めました。ただ、プライベートで行こうと思うと何をどうしていいか想像もつかず…。そんな時にこのようなレースがあるっていうことを知りました。これに出ることで、レースにもなるし目標も叶えられると思い、出場を決意しました。
― なるほど。ルートには登山道のようなものがずっとあるのでしょうか?
はい。基本的には地元の方が使う生活道のような道がベースになっています。一部完全な登山ルートもあるのですが、道なき道を進むということはないだろうと想定しています。試走もできないため全体は行ってみないとわからないところもありますが…。
レースに向けてご準備された資料で、荷物のデポ計画をお話しくださっています
― 夜はどのように過ごされるのですか?
大きく2通りありまして、山小屋のようなところに泊まるかテント泊になる予定です。
― テント泊もあるのですね。テントも担いでいくのですか?
はい、担ぎます。ただ、すべての装備を全行程で担ぎなさいということではなくて、入れ替えができるポイントがあります。個人で事前に準備しなければなりませんが、必要なものを必要な区間だけ担ぐようなシステムになっています。ちなみに、シューズは1,700kmを1足ではもちませんので、途中で2回交換する予定です。
― 標高もある長距離レースではウエアのセレクトが重要となるかと思いますが、ラインナップはどうされるご予定ですか?
想定している気温は、ー20℃~30℃のレンジです。
しかし、必要最低限に絞って、軽量コンパクト化を考えることになるので、寒いエリアでは重ね着で対応しようと考えています。
<ウエアリスト>
カテゴリ | 商品名 |
L1 | ドライレイヤー®ベーシック ノースリーブ&ボクサー |
L1 | ドライレイヤー®ウォームT&タイツ |
L2 | ラミースピン®エア ジップT |
L2 | メリノスピン®ライト ジップネック |
L2 | メリノスピン®サーモ フーディ |
L3 | ポリゴンUL ジャケット&パンツ |
L5 | エバーブレス®レグン ジャケット&パンツ(※) |
アクセサリ | ドライレイヤー®ウォーム バラクラバ |
アクセサリ | ドライレイヤー®ウォーム アームカバー |
アクセサリ | ドライレイヤー® インナーグローブ |
アクセサリ | ドラウト®クロー ビーニー |
アクセサリ | スカイトレイル®ブレスキャップ |
※印のウエアは現在販売を行っておりません。
ドライレイヤー®ウォームのタイツを手に
当日新たにピックアップ頂いたウエア
― レースの完走と安全を祈願し、finetrack社員一同で応援しております。本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
レース中の現在地がリアルタイムでご下記URLからご確認頂けます(外部サイトに接続します)。
岩崎さんのfacebookもぜひご覧ください。
※(4.25更新情報)岩崎さんは途中で体調を崩されて、一時離脱されていますが、挑戦は継続中です。
■レース中の位置情報:
https://share.garmin.com/TsutomuIwasaki
■岩崎勉さんのfacebook:
https://www.facebook.com/tsutomu.iwasaki.37
■岩崎さんの今後のスケジュール
2024年
5月31日(金) レース最終日 ゴール・カンチェンジュンガB・C
6月04日(火) レース後トレッキング最終日 タプレジュン
6月08日(土) カトマンズから帰国予定
岩崎勉
大阪府東大阪市在住。
1993年富士登山競走出場を機にトレイルを走り始め、ニュージーランド、マレーシア、中国、ネパール、北海道・知床~九州・屋久島まで国内外の山々を駆け巡っている。出場レースは延べ330超。
近年は超長距離トレイルランナーとして、2016年トランスジャパンアルプスレース完走。ウルトラゴビは2017年(日本人初)に続き2年連続完走。2024年グレートヒマールレース完走。