白山へのリベンジ。2年前にfinetrackに入社し、初めてBCスキーをしたのが白山であった。当時は自然雪では全く滑れず苦い思い出となった。それから2シーズン山で滑り込み、BCスキーを楽しめるようになってきたため再び白山に行きたいと思い立った。さらに、もともとはゆっくり縦走が好みのため、板を履いて春の陽気を感じながら白い稜線を旅したいという欲張りも計画に入れ込み、周回コースで検討。白峰集落-市ノ瀬-チブリ尾根-御舎利山-白山-別当出合い-市ノ瀬-白峰集落ルートに決定。社内で同行者を募り週末を迎えた。
■アクティビティ日:2024年4月6日~2024年4月7日
金曜日の仕事終わりに30分だけボルダリングジムに立ち寄り帰宅、しばしの仮眠の後、不安と期待を胸に神戸を出発した。
薄明頃に出発地点となる白峰集落に到着し、自転車、板、荷物等の諸々を準備する。板とテント泊装備のため荷物もずっしりと重い。
重い…。この山行で自転車にキャリアを乗せることを決意しました。
私の自転車のみキャリアがなく、白峰から一ノ瀬までの自転車パートで、足だけではなく体幹にも大ダメージ。
一ノ瀬からは歩きで、腐った雪と地面がミックスされているチブリ尾根の急登を登る。雪の踏み抜き、泥の滑り、藪の引っ掛かりのトリプルパンチにより疲労。おまけに非常に好天で暑い。チブリ避難小屋手前でようやく板を履けたものの、避難小屋到着時にはバテバテである。前日にボルダリングに行ったことを凄まじく後悔。
腐れ雪、泥、藪でどんどんHPが削られていきます。
チブリ避難小屋で中休止し、水分・塩分・エネルギーを補給し少し回復、御舎利山へ最後の急登を登る。
最高の天気の下、最高の景色を眺めながら白い尾根を歩く、まさに今回の旅に夢見た光景にもかかわらず、辛くてまったく楽しくない。脱水と脱塩で体のいたるところがつりつつ「自分はなんでこんなことをしているんだ?」と、たまに山で自然発生する心の問に「そういうときもあるさ」と一人問答しながら、一歩また一歩と足を動かし遂に御舎利山へ到着。
最高の天候にもかかわらずきつすぎて虚無モード。
なんとか御舎利山到着。
御舎利山北側の緩斜面にテントを設営。パーティ全員が前日の睡眠不足と当日の行動の疲労による激しい睡魔に襲われながら、水作りを済ませ夕食。ごく普通のフリーズドライの味噌汁とアルファ米が疲れた体に染み渡り、異常に美味しく感じた。食事後、倒れるように爆睡。
御舎利山北側に設営。疲れ果ててますが夕・朝の絶景に心洗われる。
翌朝は日の出頃にテントを撤収し出発。昨日の尾根のとりつきの腐れ雪とはうって変わり、アイゼンが良く効く適度にしまった雪で軽快に白山を目指す。
前日の疲労はあるものの、食事と睡眠によりそれなりに回復しており気持ちよく歩みを進める。徐々に日が昇り、白山を照らす。絶景を前に、前日の「自分はなんでこんなことをしているんだ?」という問いに「来てよかった」と心で改めて答え、口では「Woooooo」と変なテンションに…汗。
朝日に照らされる白山。あたり一面見るものことごとく絶景。
この日は前日と異なり楽しくてしょうがない。
大きな雪庇にやや緊張しながらも気持ちよく稜線を歩く。ようやく想像していた画と感情が一致し、どんどん近くなる白山にワクワクが止まらない。南龍山荘手前の三角点2244付近で板に履き替え、南龍山荘に向けドロップ。まだ雪は滑るには硬い。
南龍山荘に向け滑走準備中。
南龍山荘からはスキーにシールを貼り、ずいぶん近くなった白山へ登る。振り返ると前日から歩いてきたチブリ尾根が遠くにあり、ここまで自分の足で歩いてきたことにしみじみ。太陽も完全に昇り、白山山頂につく頃には雪も丁度よく緩みそうで期待が高まる。
南龍山荘からの登り。前日のラスボス・御舎利山も既に遠い。
山頂直下で再びアイゼンに履き替え、最後の急登を登り終え無事山頂到着。ここからはお楽しみの滑りである。
期待通り雪は適度に緩み最高のザラメ、気持ちよく別当出会いまで滑り下りる…はずだったが、昨日からの疲労と荷物で足が言うことを聞かず、1ターン1ターンを何とか曲がりながら休憩しつつ別当出会いへ。
ついに山頂到着!
正直足が限界です。
残すは別当出会いの橋を渡って舗装路を歩き自転車で下るのみ…なのだがここには名物の例の橋、そうスケルトンブリッジがあり、高所恐怖症の私にとっては最大の懸念事項である。非常に時間が長く感じた。なんとか無事に渡り切り対岸へ。除雪されていない地点までは滑り、そこからは歩きで一ノ瀬に下り、一ノ瀬からは自転車で一気に白峰まで走る。
やはり怖い…
帰りはほぼ下りなので楽です。
下りのため往路よりは楽なものの、相変わらず重い荷物が体幹をいじめる。きれいな雪融け水が勢いよく流れる手取川を横目に、やり切った晴れ晴れとした気持ちをかみしめる。2年前は全く滑れず「楽しくない」「やるせない」と思いながら同じ道を走っていたが、今回は「楽しかった」「来てよかったと」と本心から思うことができた。2年前のリベンジは果たされた。
帰りに白峰の温泉に入浴、そしてコーラをがぶ飲み。世界で一番美味しい飲み物はやはり下山後のコーラである、と思う。
ちなみに、私の中ではコーラとガラナが世界一美味しい飲み物の座を巡って日夜火花を散らしている。下山後に喉を潤すこの時とその後にジャンクフードを食す時、この瞬間だけは世界幸福度ランキングで首位になれるのではないか、といつも思う。
家の布団に早く入りたい欲望が爆発しそうになるも我慢しつつ(我慢できなくても家の布団は帰らないとない)、帰路に就く。道中早速「GWや夏はどこに行こうか?」と考えながら無事家の布団にたどり着くことができた。
次の山行も楽しみである。
スカイトレイル®パンツ
自転車パートでは動きやすく、風を防げ、汗を逃がすという本来コンセプトの能力を発揮しつつ、雪の上ではL5のインナーとして動きを妨げずにリンクベントを活用できる。そのため、トレランや自転車のみならず、今回のような環境の変化の激しい遊びにおいてマルチアクティビティパンツとして活躍してくれた。
執筆者:販売促進営業課 阿部 禅
入社年:2022年
公務員からfinetrackに転職。もともとは縦走登山、ダイビングを楽しんでいたが、入社後はBCスキー、トレラン、沢登りと面白さを発見しつつ趣味を拡大中。つけ麺、ファストフード、温泉ハンターである。好きなゆるキャラはくまモン。
※自然の中でアクティビティを行うためには、十分な装備、知識、経験が必要です。事前の準備を徹底したうえで、安全に注意してお楽しみください。