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8/282024

【Made in Japan】素材に魂を吹き込む丸編ニットの職人技から誕生した、新たな冬期用ベースレイヤー

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2024年秋冬の新商品である「ドラウト®サーモ」は、優れた保温性をはじめ、多彩なアクティビティに適した吸汗速乾性と調湿性、さらに軽量性と伸縮性も兼ね備えており、極寒の環境でこそ真価を発揮するベースレイヤーです。

これらの機能性を実現できた背景には、ファイントラックとメーカー商社である旭化成アドバンス(株)、そしてMade in Japanの高い技術力を有するニット生地メーカーの3社による妥協なき挑戦がありました。

確かな技術力を裏づける、温故知新の精神

丸編ニットの一大生産地として知られる和歌山県。歴史と伝統が編み込まれた高い技術力は国内外で高く評価されています。今回訪れたのは、創業から一世紀近い歴史を持つニット生地メーカーです。工場に一歩足を踏み入れると、人の背丈をゆうに超える丸編機が所狭しと並び、複雑な糸使いと針の動きで生地を編み上げていました。

このメーカーは、創業から現在に至るまで生地組織の図面を記録し続けており、図面さえあれば過去の編み方を再現することも可能だそうです。その一方で、新たな丸編機を毎年導入するなど、技術のアップデートにも余念がありません。伝統的な職人技と最新のテクノロジーを融合させた確かな技術力を武器に、実現不可能と思える課題にも果敢に挑んできました。

理想の素材を生かすため、試行錯誤を繰り返す

「温かく、軽く、素早く乾く高機能の冬用ウエアがあれば、遊びの幅がもっと広がる」。ドラウト®サーモの開発に携わったファイントラックの田中は、初めに掲げた構想をそう振り返ります。ただ、冬用ベースレイヤーによく使われるウールは軽量性と速乾性に乏しいのが難点で、通常のポリエステルを組み合わせても速乾性には限界がありました。

そこでドラウト®サーモの生地には、吸汗性を付加した半永久吸水ポリエステルと調湿性を持ったキュプラの組み合わせを採用しました。そして、これらの優れた素材を一枚の生地に編み上げるために旭化成アドバンス(株)が提案したのが、冒頭に紹介したニット生地メーカーが得意とする、表地と裏地を異なるゲージで編み上げる製法でした。

 

ごく単純に言えば、ニットを編む際の「ゲージ」とは、1インチ間の針の本数を指します。通常、ニットを編む際は表地と裏地を同じゲージにするのが一般的。ニット生地メーカーの職人A氏は、表と裏を異なるゲージで編む製法について、「針や糸のバランスに細心の注意を払う必要があって、調整を誤ればまともに生地を編めないどころか、丸編機の故障につながる可能性もあります」とその難しさを語ります。

伝統と革新の融合から生まれた理想の生地

さらにドラウト®サーモの開発でこだわったのが、着心地の良いインナーには欠かせない要素である生地の「伸び感」です。しかし、ただでさえ難易度の高い製法を採用した上、柔軟性を出せるように編んでいくのは至難の業でした。「柄を一つ増やしてみたり、減らしてみたり、糸の送り方を微調整してみたり、何度も試行錯誤を繰り返して、伸びが出る組織へと変えていきました」と同社の職人N氏は開発時の苦労を語ります。

ドラウト®サーモの生地を編む際は年代の新しい機械を採用しつつ、あえて古い機械の動きを再現できる微調整を施しているそうです。そのわけを「古い機械でしか出せない風合いがあるから」と語るN氏。他方で、「新しい機械ばかり扱っているだけでは、そうした微調整はなかなか難しい」とも語ります。過去と現在、いずれの丸編機にも膨大なノウハウを有しているからこそ実現できた方法なのです。

実際にドラウト®サーモの生地を見てみると、表地は細かな立体構造、裏地はフラットな仕上がりで、表裏の異なる風合いが緻密に表現されていることがわかります。また、手に取って触れてみると、軽さと「伸び感」も兼ね備えていることが実感できます。

一見インナーとは思えないほどデザイン性の高い表地の独特な格子柄は、通常の編み方とは異なるドラウト®サーモ専用のもの。この立体構造は汗の拡散性に寄与しているだけでなく、「普通に編んでもおもしろくないから」と職人の遊び心も編み込まれています。

素材に魂を吹き込むMade in Japanのこだわり

「やはり、どの素材にもベストな編み方があります。素材を最も良く見せる編み方を実現できるのは、取引先との信頼関係と長年のノウハウがあるからこそ」と語るのは、ニット生地メーカーで社長を務めるT氏。開発中に飛び交う一つひとつの要望を丁寧に汲み取りながら、素材の可能性を最大限に引き出す編み方を実現することが彼らの真骨頂であり、「腕の見せ所」だといいます。

また、「日本で製造するのと同じ性能の編み機を海外の工場に持っていけば、似たものは作れるかもしれません。ただそこに、積み重ねてきたノウハウをひと味加えることで、他には真似できない技術となります」とも語るT氏。不可能と思える挑戦に対しても「自分たちにしかできないこと」を追い求め、長年にわたる研鑽を重ねてきた同社の経験値こそが、オンリーワンの技術力を形作る土台となっています。

確かな技術力とあくなき向上心、そして幾分かの遊び心が編み込まれた生地で作られたドラウト®サーモ。そこに込められたMade in Japanのこだわりを、ぜひ体感してください。

新素材のキュプラと半永久吸汗を可能にする特殊ポリエステルを表裏の異なる生地組織で交編することで、軽量性に妥協せずファイントラックベースレイヤー史上最高の保温性と吸汗性を備えた商品に仕上がりました 

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