finetrackとドライレイヤー®から山への恩返しとして、みなさんがこれまで歩いてきたトレイルの整備をサポートしたい。
そんな思いから、finetrackでは「登山道を守る人を応援する」プロジェクトをYAMAPと共に始動。
購入金額の5%を登山道整備の支援に充てるfinetrack×YAMAP別注ドライレイヤー®ベーシックTの発売と、
登山道整備に必要な知識を得るためのトークイベントを開催してきました。
今回は直営店finetrack TOKYO BASEにて4月~6月に計3回実施するトークイベントのうち、
最終回となる《【登山道を守る人を応援する】「地域の山岳資源を未来へ引き継ぐために」登山道整備トークイベントVol.3》の
レポートをお届けいたします。
イベントは6月15日(土)finetrack TOKYO BASEの2階にて開催。パネリストは、株式会社YAMAPで循環型コミュニティポイントDOMOやYAMAP自然特化型ふるさと納税を担当している小島慎太郎さん、北杜山守隊専任スタッフで事務局を担当している高橋知砂さん、木島平村観光振興局の沼野寛さん、安達太良・吾妻 自然センターの一瀬圭介さん。4名のパネリストをお迎えし、様々な視点から登山道整備について、お話しいただきました。
イベントは5部制で、
【第1部】株式会社YAMAPの小島さんから「YAMAPがトレイル整備や森づくりを応援するワケ」
【第2部】北杜山守隊の高橋さんから日向山、甲斐駒ヶ岳での登山道保全活動や今後の事業活動予定
【第3部】木島平村観光振興局の沼野さんから奥信濃での登山道整備や今後の取り組みを紹介
【第4部】安達太良・吾妻 自然センター一瀬さんから安達太良山山域での登山道保全、トイレ問題やボルケーノトレイルの紹介
【第5部】小島さん、高橋さん、沼野さん、一瀬さんのトークセッション
という内容。
第1部の小島さんの講演では、
・YAMAPの登山地図GPSアプリの紹介
・YAMAPが取り組む自然環境の保全と利用
・YAMAPがかかげる循環型なDOMO
・YAMAP 自然特化型ふるさと納税
上記について、わかりやすく、深く伝えていただきました。
特に、山や自然で遊ぶ人たちが間接的、直接的に、山や自然への負荷を抑えながら、持続的に自然と付き合える仕組みが必要なのでは?という問題提起から、YAMAP FUNDING、YAMAP 自然特化型ふるさと納税を組み合わせながら、解決につながる事業を展開。各地域のそれぞれの特徴を活かしつつ登山道整備や森づくり、長期的な体制を築いていくという問題提起と解決策を具体的に示唆した小島さんのお話に参加者は惹きつけられました。
YAMAP のGPSアプリから、様々な事業までをわかりやすく語る小島さん
第2部の北杜山守隊高橋さんの講演では、
・北杜山守隊の紹介
・登山道の現状と課題
・課題解決のための取り組み
・2024年度運営方針
を中心に紹介。
北杜市への移住、北杜山守隊の専任スタッフとして実務を支える毎日や会員制度が充実してきたからこそ成し遂げられた5月の大規模な修復事業や「ほくとモデル」と呼ぶ北杜山守隊の組織論にも話が及びました。自然観察(インタープリター)の大切さや参加者に想いを伝える伝播力、事務局によるイベントの企画・運営力、現場での施工を担当する技術スタッフの技術力の大切さやそれらを属人化しないような仕組化の課題について、北杜山守隊がこれまで行ってきたワークショップ、登山道保全の実例紹介、今後の他業種とのコラボイベント、今後の事業計画などを語っていただきました。
北杜山守隊、ワークショップの参加者、会員制度と北杜市の協力体制あって組織として機能すると語る高橋さん
第3部の木島平村観光振興局沼野さんの講演では、
・奥信濃エリアの紹介
・登山道保全の取り組みのはじまり
・奥信濃での取り組み
・現在と今後の目標
を中心に紹介。
東京から木島平村への移住や奥信濃の豊かな四季、青森県白神山地と比肩しうるカヤの平高原ブナ原生林の魅力を詳しくご紹介いただきました。観光振興局の視点から奥信濃ファンを増やし、カヤの平高原の活用と保全をはかりながら、高原につながる冷たく清らかな本沢川トレイルを維持し、100年先も美しい姿であり続けられるようにしたいと語られました。
ブナの原生林で有名な青森県白神山地と比肩しうるカヤの平高原の美しさを1人でも多くの方に知ってほしいと強調する沼野さん
第4部の安達太良・吾妻 自然センター一瀬さんの講演では、
・安達太良・吾妻の紹介
・25年前の登山道整備を現在につなげる活動
・くろがね小屋の解体に伴うトイレ問題
・ボルケーノトレイルという山旅の紹介
についてお伝えしていただきました。
「安達太良山については、山単体ではなく、二本松、さらには福島を面として考えて、歴史的な背景、地理的な側面、水の流れもあわせながら、その魅力を知ってほしい。」と語り、くろがね小屋の解体に伴うトイレ問題では、酸性土壌のため、設置物が容易に腐食してしまう苦労やその腐食を防止するための新しい手法を語られました。一瀬さんがカメラマンとして世界各国の様々なレースを撮影してきた経験をもとに安達太良・吾妻を舞台したボルケーノトレイルというロングトレイルルートを活用することで、環境保全の必要性を感じていただこうと、参加費が全て保全活用され、また走った翌日に自らの手でトレイル整備を実施するトレイルランニングのレースイベントなども実施している点を大いに語られました。
ボルケーノトレイルで岳温泉の神社がスタートになり、火山旅を通じて、山、道、街を楽しめると強調する一瀬さん
第5部のトークセッションでは、会場の参加者から小島さん、高橋さん、一瀬さん、沼野さんへの質問があり、さらに、それらの質問をきっかけに様々な課題点を参加者と共有しました。
・「各団体の技術者の人材育成にどのように取り組んでいるか」
・「人の踏圧、雨の流れによる荒廃のメカニズムを知るには、雨の日に登るのか」
・「管理者不在の登山道について、解決の糸口はあるのか」
・「近年の植生の衰退の特徴を教えてほしい」
・「登山道整備の前提として、自然観察を行う重要性を教えてほしい」
など質問が数多くでました。
高橋さん、沼野さん、一瀬さんに共通しているのは、「地元出身ではないけれど、移住後にその地域を愛し、地域の活性化のひとつとして登山道整備に真摯に取り組んでいる。」という点。その取り組みへの熱量の高さが参加者に届き、トークセッションは大いに盛り上がりました。
小島さん、沼野さん、一瀬さん、高橋さんのトークッションは、各団体の垣根をこえて、交流が生まれ、会場の熱気が高まりました。
トークイベントを終えて、パネリストの4名から感想をお聞きしました。
小島慎太郎さん(株式会社YAMAP)
今春、YAMAPとfinetrackと協働し、寄付付きドライレイヤーを発売しました。現地での登山道整備という保全イベントまで組み込み、さらに、DOMOの循環構造を商品設計に反映したことは、YAMAPとして初めての試みです。DOMO担当者として、商品設計から販売までの現状は順調に進行しています。
本日のようなイベントを通じて、登壇者4名の熱量が参加者の皆様に伝わり、1人でも多くの方が現地に運んでいただけることを希望します。各地での整備イベントに参加することで、従来とは異なる山の見え方、自然の見え方を参加者が得られます。今後の展望としては、次年度もfinetrackと同じような取り組みを実施し、さらなる施策をfinetrackと協働できれば、と考えています。
高橋知砂さん(北杜山守隊)
初期の登山道保全のワークショップは、環境意識や登山道整備に問題意識が高い方がご参加されました。さらに、北杜山守隊として保全活動に携わる裾野を広げるために、異業種とのコラボイベント、トレイルランナーをメインターゲットにしたイベントを開催し、登山道整備の関係人口を1人でも多くしたいと思っています。
上記のような現場でのワークショップに実際に参加することも大事ですが、ワークショップの存在を知っていただくことも北杜山守隊は重要視しています。本日のような登山道整備のトークイベントの場は、北杜山守隊にとっても重要な機会でした。トークセッションの中で、北杜山守隊への質問が多数あり、北杜山守隊に対して興味・関心を抱いて頂けている現状に、今後の希望を感じました。登山道の保全活動に興味・関心をもち、今後の行動変容に結び付く過程を知れたことも収穫でした。
沼野寛さん(木島平村観光振興局)
本日のイベントでは、奥信濃での登山道整備の活動を中心に紹介しました。山田琢也さんのこれまでの活動に加えて、木島平村の観光振興局の視点も加味して参加者にお伝えしました。
今日の参加者の皆様は、保全の活動に何らかの興味がある方が多かったです。登山道整備の活動は全国的に実施されています。ご自身の好きなエリアや自分が当事者として参加できるエリアを是非、見つけて、そのエリアで活動してほしいです。実際に手を動かすだけが保全ではなく、間接的な関与の方法もあります。より多くの方が登山道整備に関与してほしいと考えています。
本日の参加者の皆さんから登山道整備に関わる一体感や志を一緒にする仲間のような雰囲気を感じました。仲間の皆さんと一緒に整備活動を推し進めていきたいです。
一瀬圭介さん(安達太良・吾妻 自然センター)
登山道整備や保全についての情報はSNSやインターネットに溢れています。情報を得ることはできるけれど、現実に行動する、手を動かすまでに、1つ目のハードルがあります。本イベントに参加して、現実に活動している方々の意見や考え方に触れることで、そのハードルを是非、乗り越えていただきたいです。
登山道整備という言葉を聞くと土木工事のようなイメージがあります。しかし、実際には、自然をより深く観察し、自然に入っていきます。具体的には、水の流れ、植生の在り方、植物の萌芽から成長など、登山道を観察する中で、登山道を含めた周辺環境に詳しくなります。そのような観察を通じて、原因と結果の違いを考えるようになり、荒廃の原因、生き残っている植生を現場で分析し、思考することで、得られるものが生じます。そして、新しい山の見え方、楽しみ方を習得することになり、山の奥行き、楽しみ方が広がります。結果として、山遊び、登山、トレランなどの活動がより楽しめます。
購入金額の5%が登山道整備の支援に finetrack×YAMAP別注ドライレイヤー®
finetrackとYAMAPがタッグを組み誕生した、購入金額の5%を登山道整備に充てるドライレイヤー®ベーシックT。
カラー、襟裏のロゴ、パッケージなどが通常モデルと異なる、限定モデルです。