DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 相川 創、田中 優行 撮影者:相川、伊藤、山下、阿部

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スタッフの遊び記録
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2024年6月、遅い梅雨入りと前後して沢登りのシーズンが始まり、finetrackスタッフも次々とシーズンインをしています。
今回はそんなスタッフの中から、社歴も沢もベテランの相川と新入社員かつ沢初級者の田中、2名の遊びをレポートします。
ベテラン相川はがっつり登攀系の沢、台高・小橡川小迫谷に向かいました。美しい大滝が緩みなく連続し、さらには下山難易度も相当高い、小さいながらもしっかり上級者向けの沢を堪能。
一方田中は、信頼できる相川のロープを頼りに、誘われるがまま台高・東ノ川西ノ谷へ。「なんだか面白そう」と参加してみましたが……?

■アクティビティ日:
2024年6月22日 台高・小橡川小迫谷
2024年6月30日 台高・東ノ川西ノ谷

2024年6月22日 台高・小橡川小迫谷(相川筆)

アプローチは林道をたどって、入渓点すぐまで車で入ることができた。
小さな沢なので油断して、だいぶゆっくり入渓になったのだが、これを後で後悔することになる・・・


出合いすぐに懸かる美しい40m大滝。

入渓後すぐ目の前に、いきなり40mの大滝が現れた。前日の大雨もあって、水量が多くなかなかの迫力!
今日はがっつり登る気分で来たので、登れそうなラインを観察する。傾斜は結構あるが、ど真ん中の凹角あたりが弱点になりそうだとトライしてみることにした。


1ピッチ目の核心あたり。

傾斜はあるが、岩も硬く節理も豊富。滝登攀としてはかなり上モノであった。
ただ、久々の沢でウォームアップなしでこのクライミングは体の動きも硬くて結構ビビった。


水流を抜ける2ピッチ目

2ピッチ目はフォロー。少し木登りして再び水線左端を登り、
最後は水流をくぐり抜けるナイスなライン


滝はどんどん続く

40m大滝の上で沢は分岐。本流の左を取るとすぐに20mくらいの滝が現れる。


シャワークライミングは敗退

シャワークライミングのラインを狙って滝身に突っ込んでみたが今日の水量では、水勢強すぎ、寒すぎで厳しい!
水流の裏にあったチムニーを登って抜けた。


見事な大滝

左に水流がチョロチョロ程度のスラブ滝を見ながら少し進むと現れる優美な大滝。
折よく太陽が出てきて、美しい姿を見せてくれた。
ゆうに50m以上はあるだろう。滝と滝の間が本当に短い沢だ。


大滝1ピッチ目

1ピッチ目、右端のクラックから取り付き、シャワークライミングラインに突っ込み、しっかりした木まで。
傾斜は出合いの滝よりはなくて易しいが、すっきりとして内容も濃く、かなり面白いクライミングだ。


1ピッチ目のシャワークライミング区間を抜けたところを上から


2ピッチ目は木登り

2ピッチ目は、フォロー。そのままスラブ滝に突っ込むラインも見えたが、プロテクションが取れるか確証がなく、パートナーは木登りラインを選択した。


この谷最大の100m大滝

まだまだ出てくる100mくらいの段瀑状の大滝。ガチャガチャした形状で、これまでの2本の大滝ほどは登攀意欲がそそられない。下部は易しいのでノーロープで。途中からロープを出して水線横のカンテ状を登って抜けた。


ゴルジュにかかるCS滝

100m滝の上はゴルジュ状になる。左の側壁から滝を二つ越えると、悪相の20mCS滝が現れた。寒くてシャワーしたくないのと時間押し気味のため、今回は左からの巻きを選択。登ったらかなり悪そうだ。

内容のある滝が多かったので、短いわりに時間のかかる沢だ。まだ少し滝は続いているようだが、地図上おおむね緩いエリアに差し掛かったのと時間が押しているため、標高1000m付近で右手の尾根に取り付いて、下山を開始することにした。

下山は急峻な尾根についた非常に薄い踏み跡をたどる。1100m付近まで登って南南東に下り、900m付近で尾根を乗り換えて826m地点を経由するラインを狙ったが、最後の林道に向かって降りる尾根の途中で暗闇になりラインを外してしまい、大雨の中懸垂を繰り返して降りることになった。下山難度はかなり高い。

2024年6月30日 台高・東ノ川西ノ谷(田中筆)

午前7時ごろ入渓。増水が若干不安ではあったが、実際には許容範囲内の水量であり、泳いでいる魚が見える程度の透明度を維持していたため、問題なく行けると判断。
雨が降る中ジメジメした沢を歩くのはいかにも梅雨のアクティビティという風情があり、気分が上がる。


美しい風景。まるで絵画のよう。

少々歩いていると、大きめの滝が登場。普段の私ならば高巻くか、諦めるかの二択だが、本日の同行者たちは皆屈強であり、登りたくてウズウズしているようであった。リードしない(できない)私もチャレンジしてみることに。ボルダリング経験が活きればよいのだが。


スルスルと登っていく同行者。あんなところ登っちゃうの?と若干不安になる。

先行者たちはスムーズに登り、いざ私の番。カエルが跳びかかってきたりするトラブルはあったが、ホールドはしっかりとしており、予想していたような恐怖を感じることは無く、楽しく登れる良いルート。程よい緊張を楽しみつつ、無事に登り終えることができた。達成感に包まれ、沢登りの楽しさを実感する。


地味に難所。フェルトソールでも滑る。

すると今行程最大の滝が登場。凄まじい水量と堂々たる存在感に圧倒され、しばし眺める。木々の合間から見えるその様相は神秘的であり、目が釘付けになった。同行者たちも同じように眺めていたが、どうやら登攀ルートを探している様子。さすがに登るのはキツかろうとこの時点では考えていた。


あれは登れないだろうとこの時は思っていた。

とりあえず近づいてみようということで、水量たっぷりの楽しい場所をどんどん登っていく。楽しいが、結構怖い!水量たっぷりであるが故、落ちたらただでは済まない雰囲気を醸し出しており、否が応でも緊張せざるを得ない状況。実際はそんなに水深のある場所ではないのだが、その禍々しい水流のせいで絶対落ちないぞという覚悟が固まる。


クライマーっぽい動きをしているように見えるが、ビビッて張り付いているだけの私。

いよいよ滝壺に近づく。その巨大さ故なのか、風まで吹き付けてくるので気分が非常に高まる。熟練の同行者2人が先行し、私もついていこうとしたが、へつり部分で技量不足が露呈しポロリと着水。力の差を思い知り、水を浴びながら悔しさに震えた。


滝に近づくのも大変。私は技量不足でへつれなかったので滝壺経由で登った。

近くから観察した結果、登れるとの結論。どこから登るのか全く見当がつかないが、経験豊富な同行者の登りを見ているとなんとなくイメージが湧いてくる。グループ沢登りの面白さのひとつであろう。というか、ロープの確保無しではとても怖くて登れる場所ではない。


すげぇ、ホントに登っているぞ。

体にくっついていたヤマビルをいじりながら、ルートを必死に観察。どうやら草付きまでいけば安心らしいと判断し、私も登り始める。ホールドは小さいが、なんとかなりそうかな?と草付きまで登り、必死に草をつかんだが、根元から抜けてしまった。手がかりを失い、一気に緊張感が高まる。必死に手がかりを探し、根性を振り絞り、なんとか冷静さを取り戻して登り切った。


上部の草付きエリアがまさかの鬼門。


滝の後は泳ぎ。我ながらヘルメットのテカリ具合が気に入っている。

その後もシカ、クマ、アマゴ、ヒル、キノコ等を眺めながら楽しく歩き、適当な場所で尾根を登って林道に戻る。全行程約7時間の楽しい沢登りだった。

遊びのMVPアイテム

フラッドラッシュ®足袋ソックス
2024年春に発売の新しい沢向けソックスをチョイス。保温性はネオプレンほどないが、この時期の沢用としては十分。繊細な足裏感覚があるので、登攀要素の高いこの沢にはぴったりだった。by相川

フラッドラッシュ®足袋ソックスの商品情報へ

 

遊びのMVPアイテム

この酷暑の時期にドライレイヤー®ウォームを紹介するのは若干気が引けますが、今回の水温低めの沢でなおかつ常に体が濡れているような状況では非常に頼もしいアイテムとなりました。冬に使用するイメージの強い本商品ですが、真夏でも泳ぎの多い沢登りを楽しむ際は是非とも試していただきたい一品です。by田中

ドライレイヤー®ウォームの商品情報へ

 

執筆者:商品開発課 相川 創

入社年:2008年

電機系の検査機器メーカーでのエンジニア職を経て、アウトドアでのモノ創りがしたくて全く異業種のfinetrackに入社。
沢や滝を登りまくっているうちに、沢を下るキャニオニングにも目覚め。登りと下り、その沢にあった楽しみ方で楽しんでいる。日本国内の他、台湾やニュージーランド、スイスやイタリアの渓谷にも足跡を残す。

執筆者:カスタマーサービス課 田中 優行

入社年:2024年

最近本格的にボルダリングを練習しているが、伸び悩む原因を探っているうちに体重を減らせばよいのではと思い始めて即実践。体重が減ることで若干登れるようになったが代わりに体力を失い夏休みの山行計画に暗雲が漂う。

 

 

 

※自然の中でアクティビティを行うためには、十分な装備、知識、経験が必要です。事前の準備を徹底したうえで、安全に注意してお楽しみください。

 

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