アウトドアをする女性であれば、きっと誰しもが悩んだことがある「生理中のアクティビティ」。
そんな女性特有の悩みを解決する『女性の立場にたったモノ創りがしたい』と、熱い想いを胸にアウトドアをこよなく愛す女性スタッフ達が結集。2016年に、初代「ドライレイヤー®ベーシックサニタリーショーツ」が誕生しました。2020年にリニューアルされ、現在に至ります。
今回は、初代から開発に携わったスタッフ・森田に、そのこだわりのモノ創りをインタビューしました!
きっかけは、『生理中のアウトドアが不快』というお客様の声でした。
そう言われて、自分の経験を振り返ってみると、たしかにそれまでにあったサニタリーショーツや通常のショーツでは、ナプキンがよくズレるし、蒸れるし、不快なことが多かったなと。
そこで最初は、ナプキンなしで使える「吸水タイプ」のショーツを考えました。
2016年発売の初代「ドライレイヤー®ベーシックサニタリーショーツ」から開発に携わった森田
吸水ショーツは “生理になるかもしれない日” に、とりあえず使うには良いと思います。
ただ、どうしても吸水量には限界があります。特にアクティブに動くシーンでは、水分を含んだ吸水ショーツは蒸れて暑いし、気持ち悪いですよね。
また、連泊時に汚れたショーツをつけたままでいるのが、衛生面でも気になりました。そうかといって着替えを何枚も持っていくのも、荷物が増えて負担ですし。
登山やセーリング、カヤック、自転車、テレマークスキーなど四季折々のアウトドアを楽しむ。
そこで構想を練り直して、現在の「ドライレイヤー®」の生地を全面に使用したナプキン取り付け型のサニタリーショーツの開発に至りました。
自分が、アウトドアでナプキンを使うときに何が1番嫌なのかを考えると、やっぱりナプキンがズレること。日常でしゃがんだだけでもズレてしまうことがよくあるのに、それをアウトドアで行動しながら穿き続けるのは不快ですよね。
だから、ナプキンがズレにくいサニタリーショーツができないだろうかと考えました。
この一枚に生理中の不快を減らすための機能が詰められている
登山では、トイレが少ないなかで長時間歩かなければならず、着替えもしにくい。自ずと、大きめのナプキンを使用することが増えると思います。
だからこそ、長い時間、大きいナプキンをつけていてもズレない構造はないかと試行錯誤しました。その時に、思いついたのが “ふんどし” です。
はい、“ふんどし”です。
「シコを踏むお相撲さん」を思い浮かべてもらうとわかると思うのですが、ふんどしって身体の中心からズレないんですよね。そんな風にできないかなと思い、開発したのが「フライングフィットクロッチ」です。
ふんどしから着想を得た独自のクロッチ構造「フライングフィットクロッチ」
「フライングフィットクロッチ」の特徴の一つは、一般的なサニタリーショーツよりも長めに設計したクロッチ部分です。
運動しても身体の中心でクロッチが固定されるようにするためには、ふんどしのようにウエストからクロッチを吊るす構造にする必要がありました。
ウエストから吊るすことで、クロッチ部分が常に身体の中心にくる
それでいて、しゃがんだ時などにウエストに引っ張られてクロッチが食い込んだりしないように、ナプキンを貼り付ける所には伸縮性の少ない生地を、そしてその前後には伸縮性のある生地を組み合わせています。
ウエストとクロッチをつなぐメッシュの「ドライレイヤー®」生地
ウエストとクロッチをつなぐ部分には、伸縮性のある「ドライレイヤー®」生地を配すことで、遊びを作り、身体の動きに追従したフィット感を生み出すことができました。
大きなナプキンをつけるときのために、クロッチの後ろ部分(お尻と腰の間くらいの部分)はメッシュ生地を二重構造にしていて、ナプキンを挟み込めるようにしています。
このメリットは二つあります。
一つは、ナプキンが剥がれにくいことです。特に、ナプキンの後ろ部分は面積が大きく、足を上げた際にショーツの生地に引っ張られて、接着面が剝がれやすい。そうるすとズレが発生して粘着テープの部分がお尻に当たってしまいます。
ナプキンの上にカバーをつけることで、ズレを防ぐことができます。
生地と生地でナプキンの後ろ部分を挟む二重構造
ナプキン(30㎝)を装着した様子
二つ目は、ナプキンが肌にあたりにくいということ。撥水性により、肌から水分を遠ざける機能がある「ドライレイヤー®クール」の生地を使うことで、経血や汗をスムーズにナプキンに移行し、サラリとした穿き心地が続きます。
ナプキンをつける際に中心位置が分かりやすいように印(カン止め)も付いている
クロッチには、ストレッチ性のある3層構造の防水透湿素材を使用しています。
登山ウエアにも使われる高機能な防水透湿素材を贅沢に使用
防水で経血が漏れにくく、透湿性があるので蒸れにくいのが特徴です。
またニット(=編物)生地なので、肌あたりがよく布帛の防水透湿生地に比べてナプキンが貼り付きやすいのもこの素材を選んだ理由です。
やさしく包み込むようなウエストの穿き心地にこだわりました。
やっぱり生理中はお腹の締め付けが苦しいし、気になりますよね。
一般的なショーツはウエスト部分がゴムなことが多いと思いますが、「ドライレイヤー®サニタリーショーツ」はストレッチ性がある「ドライレイヤー®クール」の生地でウエストを構成しています。
伸縮性のある生地が優しくウエストにフィットする
これにより、締め付け感の少ない穿き心地を実現することができました。
実は、この仕様は2016年発売の初代モデルより採用していたのですが、評判が良かったため2020年の「ドライレイヤー®シリーズ」のリニューアルの際に、女性用では「サニタリーショーツ」以外のすべてのショーツにこの仕様が採用されるようになったほどなのです。
一つ目は、股上を深くした点です。
よりお腹を温かく、汗や濡れによる冷えも防ぐようにしたかったので。
現在の2代目「ドライレイヤー®ベーシックサニタリーショーツ」ではより股上が深くなった
二つ目は、より肌当たりがよくなるように「縫い目」を見直しました。足口やウエストの縫い目を肌側ではなくて、表側にしています。
あえて通常の縫い目とは裏表が逆になる仕様に
ちょっとした縫い目や糸の厚みが、擦れて赤くなったり、痒くなったりすることってありますよね。
特に登山では、汗もかくし、動きもハード。そんななかで、数日間穿き続けなくてはならないときもあり、できるだけ肌トラブルの要因を減らしたいという思いがありました。
また、重ね着の増える秋冬の登山や、行動着を着たまま眠る山の宿泊では、締め付け感がストレスになることも多々あります。
だからこそ、ウエストなどの服が重なりやすく、締め付けられやすい部分の仕様にはこだわりました。なるべく薄く、より肌当たりの良いものにというのが、リニューアルのテーマでした。
まずは、生地ですね。
メッシュ生地に撥水加工を施した「ドライレイヤー®」の生地を全面に使うことで、汗や濡れを肌から遠ざけ、サラリとしたドライな穿き心地がつづきます。
さらに、湿気のこもりやすい生地の重なり部分もできるだけ少なくなるように工夫しました。
全面に配したドライレイヤー®生地がサラリとした履き心地を提供
『ホントに足上げをしてもズレない!!』というのが一番の感想でした。
だからクライミングでハードに動いても、ランニングで思いきり走っても大丈夫。あとは意外と普段の日常でも、使っている人が多いと聞きました。
生理のとき以外にも、吸水パッドやおりものシートを使うことがあると思うのですが、それらにも対応しているので使い道は幅広いなと思います。
コンパクトで軽いので、持ち運びしやすいのもポイントです。数枚のナプキンと一緒に、バックパックに負担なく忍び込ませておける。
重量はわずか27g 小さくなって携行しやすい
あとは、洗っても速く乾くので、遠征のときでも二枚もあれば十分だったのがありがたかったです。
最初に購入したものはもう八年使っていますが、生地がヘタりにくいのもいいですね。
運動をするすべての女性に使用してほしいです。
特に汗をかきやすい人や、ハードに動く人はそのメリットが感じやすいと思います。
アクティビティでいうと、登山やクライミングはもちろんのこと、トレイルランニングなど走っている人に使ってほしいですね!
アウトドア用のサニタリーショーツ。歩行や走行時のナプキンのズレを防ぐ独自のクロッチ構造や、肌当たりの優しい縫製仕様、抗菌防臭など、生理中の不快を軽減する機能を詰め込みました。本体生地には、汗や経血といった水分を肌から遠ざけ、冷えやベタツキを防ぐドライレイヤー®生地を採用。サラリとした、ドライな穿き心地がつづきます。
( 文:fun to track編集部 )