憧れのルートとして挙げられることの多い北鎌尾根。
今回は、高瀬ダム~湯俣~千天出合をアプローチとし、槍ヶ岳へと抜けるクラシックルートを選択。渡渉あり、藪漕ぎあり、水場なしと計画段階からワクワクは止まらない。
私、岡嶋と同僚の山下は、さらにロマンを追い求め、大キレット、ジャンダルムを超えて西穂高岳まで繋げることにした。
■2024年9月14日~9月17日
Day1
信濃大町駅の駐車場に車を停めて、裏銀座登山バスに乗り込み、七倉山荘へと向かう。
そこからは歩くこともできるが、体力温存という建前のもと、タクシーを利用した。
高瀬ダムから湯俣山荘までは平行移動。整備の行き届いた快適な道を進み、
橋を渡ると、ようやく今回のスタート地点。
ここからは渡渉を繰り返しながら、北鎌尾根の末端を目指し水俣川を遡り天上沢出合を目指す。
心配していた水量は問題なかったが、いかんせん水が冷たい。
歯を食いしばりながら歩いていくと、人間の体はよくできたもので次第に慣れてくる。
ひざ下程度の渡渉が続く
天気も良く、目の前に広がる景色が、普段の山ともまた違う。
ご機嫌に歩くこと3時間ほど、北鎌尾根に上がるピンクテープを発見し、最後の渡渉を済ませる。稜線上は水場がないため、それぞれ5~6L程度ザックに詰め込む。
ここで発生するのが、靴どうするか問題。
過去の記録を調べると様々で面白い、私たちは沢靴(ラバー)で歩き通せるだろうと踏み、軽量化を図ることにした。
末端~P2~P3まではひたすらに急登。
「重すぎます!進みません!」と文句を垂れながら登っていく。
ほぼ垂直では?といった木登りや、簡単な岩場があるが、足場や持ち手はしっかりとしているため、ロープは出さずに通過できた。
まだまだ先は長いぞ、、、
p3~p4は藪漕ぎ、自分の背丈を超える藪もあるものの比較的優しめ。
藪漕ぎは先頭をもらい、ご機嫌に泳いでいく。
藪漕ぎはいつだって楽しい!
「後ろ見てください、きれいですよ!あの尾根はなんですかね?」なんていいつつ、
こっそりと足を休め進んでゆく。
P4を少し進んだところで、噂のテント場を発見、少し下のコルにも適地があるが風もなさそうなので今回は稜線に幕営。
イカしたテント場
DAY2
朝、テントから外をのぞくと、霧の中。
序盤が核心のため明るくなってからスタートを切る。
歩き始めてすぐにP5に到着、ここが今回の山行の核心だった。
「p5ーp6は高度を落として巻く!」を意識していたが、踏み跡も多く、岩稜帯はついつい上りたくなってしまう。気持ちをグッと抑え、斜面下側にルートを見出すと、難なく通過できた。
下に、横に、進む。
P6の巻きからコルに出るところの岩場が何となくいやらしく、落石にも注意。
先頭と間をあけながら進んでいく。
そのあとは難しいところもなく、北鎌のコルへと抜ける。
このあたりから、雨脚も強くなったが景色に目を止める間もなく軽快に進む。
何にも見えない!!
雨天の中だったが、幸いにも視野の確保は100m以上あったため、大きくルートを外すことはなかった。「基本直登」を合言葉にすると良いかも!?
雨で体が冷えてくるので、あまり止まらないよう歩き続ける。
最後のチョックストーンの岩場は荷物があると後ろに引っ張られるが、
ロープは使用せずに無事に通過。
山頂直下のラストスパート
12時頃には槍ヶ岳へ抜けるがなにも見えない。
濡れすぎて寒い。早々に山頂を後にして小屋に向かう。
小屋への素泊まりを検討したが、私の金銭事情で断念。ごめんなさい、、、、、
とりあえず、小屋の喫茶で暖を取り気持ちを整える。
少し雨脚が弱まったタイミングでテント設営。
テント内では、ガスを空焚きし、ウエアを乾かすものの乾いたのは気持ち程度。
半ばあきらめ眠りについた。
DAY3
今日は天気がよさそうということで、4:30頃に出発。
槍ヶ岳へ向かうヘッドライトが槍ヶ岳を形どる
大喰岳でしばらく朝日を眺め、再び歩き出す。
すると目の前にブロッケン現象が!!!しかもその周りを大きく光彩が!!
お互いを被写体にシャッターを切りまくる。
なにこれ!すごい!!
気温も上がってきたので、昨晩乾かなかったウエアを乾かしながら歩く。
南岳を超えると、大キレットの全貌が明らかになる。
いくら上っても近づく気がしない。
余裕だろうと思っていた、長谷川ピーク・飛騨泣きは高度感もあり、
人工物があるおかげで登ることができるような場所だった。
飛騨泣き(左)・長谷川ピーク(右)
重たい足、上がる心拍、小屋が見えてから進まない現象に名前が欲しい。
ようやくたどり着いた北穂小屋で、優雅にコーヒーをいただく。
絶景が楽しめるテラスだが、あいにく槍ヶ岳方面の展望は雲の中。
後ろ髪を引かれることもなく、穂高岳山荘に向かう。
涸沢岳を超え、12時過ぎに小屋に到着。
さすがにまだテントは他になく、広くて平らな場所をチョイス。
幕営を終えると、荷物をひっくり返し、濡れているものすべて乾かす。
乾け!
行動食を食べるのも味気ないので、穂高岳山荘でタンタンメンとビールをいただく。
なにもすることがないので、昼寝をしたり、昨日までの道のりを振り返ったり、明日のジャンダルムに思いを馳せたりと、だらだらと暇な時間を過ごす。
至福、この一言につきる。
DAY4
ガスの中、奥穂高岳に向かう。
ガスが切れるかと期待したが、ご来光は見れず。
視界はしっかりとあるため予定通りジャンダルムに向かう。
下るウマノセ、慎重に。慎重に。
岩場をずっと歩いてきたからか、足元は安定している。
ルートを外さないよう、目印を確認してから進んでいく。
ジャンダルムの天使と初対面!
ジャンダルムから西穂高岳が意外と長い、、、、、
山荘のラーメンを楽しみに進んでいく。
お昼頃に西穂山荘に到着、お目当てのラーメンをすすりエネルギーをチャージ。
半分くらい走りながら、一気に上高地に下る。
観光客に紛れ、バス・電車を乗り継ぎ、車を回収しに信濃大町へ。
北鎌尾根クラシックルートからの槍穂高連峰3000mの縦走路はロマン溢れる好ルートだった。
【持って行ったfinetrackのウエア】
ドライレイヤー®クールブラタンクトップ
ドライレイヤー®ベーシックショーツ(深め)
ドライレイヤー®ウォーム上下
ドラウト®クアッド
ドラウト®ポリゴン3
カミノパンツ
フラッドラッシュ®ソックス
メリノスピン®ソックス
フラッドラッシュ®足袋ソックス
今回の山行は沢靴オンリー、かつ初日に濡れることは確定している。装備の軽量化を優先し、メインソックスとしてフラッドラッシュ®ソックス、着替え(予備)としてメリノスピン®ソックスを選択した。これが大正解で、雨の中歩くことが多くなったが、靴の中は常に快適。またネオプレン程分厚くないため、岩稜帯での指先の感覚も損なうことなく着用できた。渡渉を含む山行ではかなりオススメ。
執筆者:販売促進営業課 岡嶋 芽
入社年:2021年
学生時代は長期休みに山小屋やスキー場でバイトをしたり、海外を一人旅したりと、より長く、非日常を楽しむ。山を本格的に始めたのは入社後、それまでは縦走をメインにしていたが、今では夏は沢登り、長期縦走。冬は雪山、雪稜とほとんどの週末を山に費やしている。垂直は苦手、、、