DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

ファインポリゴン® ~世界初のシート状立体保温素材~

MADE IN JAPANの粋
濡れても保温性を発揮する、シート状立体保温素材

いかにドライな環境を維持しながら保温するか。アウトドアフィールドで誰もが考えなければならない命題です。
「濡れても必要十分な機能を発揮し、ドライ感と温かさを回復しやすい素材を創る」。ファインポリゴン®は、そんな思いから生まれた保温素材です。

極薄のシート生地を、最先端のシワ加工で凹凸のある立体構造にし、積層させて温かい空気の層を形成。驚きの軽さを持ち、温かく、水濡れに強いという特長を持っています。

特許取得済(特許第5752775)

ファインポリゴンのシート状立体保温素材の解説図

シートが平坦だと保温力を確保できない

シワを持たせることで空気を溜め込むボリュームができあがる

積層することで、さらにボリューム(暖かさ)が増す

ファインポリゴン®の特長とメリット

1.濡れに強く、速乾性に優れる

ダウンは雨や結露、汗に濡れることでロフトが失われ、保温力が下がることは珍しくありません。そうしたウィークポイントを解消したのがファインポリゴン®です。

ウエア内に水分が浸入した場合でもファインポリゴン®自体が保水しないためロフトを維持し、湿潤時でも保温力を確保。他のワタ状保温素材と異なり、シート状のファインポリゴン®は速乾性に優れ、濡れても短時間で本来の保温力を回復します。

ダウンとの水漏れ比較実験

ダウンとの水漏れ実験

含水率試験データ

含水率試験グラフ

ファインポリゴン®は24%程度の含水率と優れた水分抜けを示したのに対し、高品質ダウンの含水率は60%、化繊綿は40%となった。十分に水に含浸させた後、遠心脱水を30秒かけた後の含水率を測定。

乾燥試験データ

乾燥試験グラフ

各保温素材を湿潤させて人間の力で水を切ることを想定した2分間の脱水後、20℃/湿度 65%/無風の室内にて乾燥させ、ほぼ乾燥したと言える含水率5%(素材が本来含んでいる水分は除く)に達する時間を計測。

2.濡れても温かい

水分を含みにくいポリエステルで出来たファインポリゴン®は湿潤時でもロフトがつぶれにくく、乾燥時の70%の保温性を維持することができます。
そのため、不意の天候変化に見舞われやすいアウトドアにおいてシーンを選ぶことなく着用することが可能です。

湿潤時の保温性維持率比較データ

湿潤時の保温性維持率比較グラフ

ファインポリゴン®は、乾燥時の70%を維持したのに対し、他の中綿素材のジャケットはほとんどが50%以下に低下、高品質ダウンに至っては、乾燥時の36%の保温性となった。十分に水に含浸させた後、遠心脱水を30秒かけ、サーマルマネキンに着用させて保温性を測定。測定開始から、30~40分経過後のデータを使用。

3.軽量でコンパクト

軽量でコンパクト わずか重さ9グラム!

ファインポリゴン®は、キルティングを必要最小限に抑えることができるシート状のため、多重に積層しても重さを感じにくい特殊素材です。付属のスタッフバッグにコンパクト収納できる優れた携行性も実現しています。

圧縮試験のデータ(当社試験データ)

圧縮試験グラフ

ファインポリゴン®とダウンは共に95%を超える圧縮率を示した。無荷重時と、100g/cm2の荷重を加えた時の厚さを比較。

4.ムレにくい

ダウンプルーフ加工(ダウン抜けを防ぐ目詰め加工)が必要ないファインポリゴン®は、表地に通気性を持たせることができるため、行動時に発生する汗の濡れやムレを大幅に軽減することができます。

結露量のデータ(当社試験データ)

結露量試験グラフ

ダウンプルーフの生地を使用したジャケットは著しく結露したが、ファインポリゴン®はその15%ほ どの結露に抑えることができた。20℃65%RHの条件下で、500mlのステンレスポット(φ75mm)に90℃のお湯を150ml入れ、試料で蓋をして10分間放置。生地表面に結露した水分の重量を測定。

5.メンテナンスが容易

ダウンや化繊ワタに比べ、圧倒的に速く乾くうえ、シート状のため濡れてもダマになったり、片寄りが起きません。そのため、ご自宅で容易にメンテナンスすることができます。

6.マイクロプラスチック発生量が少ない

ファインポリゴン®は、極細の長繊維が絡み合いシート状を形成することで、洗濯などの外的摩擦等でも繊維の脱落等が起きにくく、マイクロプラスチックの発生量がとても少ない次世代型の保温素材です。

マイクロプラスチック発生量比較テスト(中綿のみ)
(当社試験データ)

ファインポリゴン®と一般的な短繊維化繊綿をそれぞれウエア本体から取り出し、表裏をほつれ止めしたポリエステル布で挟み、周囲を本縫い縫製したものを試験試料とした。洗濯処理後、洗液から回収、計量した繊維くずの重量をm2あたりに換算した。

マイクロプラスチック発生量比較テスト結果グラフ

ファインポリゴン®と一般的な短繊維化繊綿をそれぞれウエア本体から取り出し、表裏をほつれ止めしたポリエステル布で挟み、周囲を本縫い縫製したものを試験試料とした。洗濯処理後、洗液から回収、計量した繊維くずの重量をm2あたりに換算した。

マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、NOAA(アメリカ海洋大気庁)によって「5mm未満のプラスチック片」と定義され、自然分解されないことから海洋汚染のみならず自然環境や人体への影響が懸念されているものです。 わたしたちが毎日着用する衣類からも、強い摩擦が生じる洗濯時などに極微細なファイバー(繊維)状のマイクロプラスチックが発生しています。ファイントラックではファインポリゴンをはじめとした、様々なウエアでマイクロプラスチックの発生を抑える生地開発や構造を採用しています。

ファインポリゴン®シリーズ

ミッドレイヤー ポリゴン2UL
ミッドレイヤー ポリゴンアクト
ミッドシェル フロウラップEXP
スリーピングバッグ ポリゴンネスト
テント カミナドーム冬季オプション
小物 ポリゴンアクセサリ

常識に捉われない素材開発

防寒着やスリーピングバッグの保温素材はダウンが最も一般的です。いい素材であることには違いないのですが、山で使うことを考えると大きな欠点がひとつあります。濡れると保温力が急激に下がってしまうということです。

ダウンのメリットは十分わかっていながらも、この「濡れに弱い」という点が、私たちにはどうしても納得できませんでした。しかし濡れに強く、かつ、軽くてコンパクトな保温素材を作り出すのは容易ではありません。化学繊維で試してみても、ワタ状の保温素材では濡れへの強さを実現することができなかったのです。

転機となったのは、「ワタではなくシートではどうか」というアイデアでした。薄い紙を重ねてくしゃくしゃにしてみると、いい具合にロフトが形成されます。これを復元力が高く吸水しない生地で作れば、保温素材として使えるのではないか?開発の具体的な形が見えた瞬間でした。

スリーピングバッグとポリゴン2ULジャケットの試作モデル

スリーピングバッグの半身分とインサレーションジャケットの試作モデル。

アイデアは固まりましたが、それを製品として形にするのは別問題です。開発に取り掛かってみると、課題は山積みでした。まず、適した素材が見つからない。ようやく理想的な素材に巡り会えたら、今度は裁断と縫製が非常に難しい。しかし折よく、実績ある工場とタッグを組んだ体制が稼働し始めたころでした。工場スタッフと何度も議論を戦わせ、試作と調整を重ねて、2012年、ついに生産にこぎつけることができました。この時すでに、最初の着想からまる3年が経っていました。

ファインポリゴンは高度な裁断と縫製が必要

ファインポリゴン®は高度な裁断と縫製が必要になるため、緻密な指示書が求められる。

今では、ファインポリゴン®製品はウエア、スリーピングバッグ、アクセサリーなど、展開アイテムの幅を拡げています。