奈良・大峰山脈の大普賢岳東面の地獄谷上部は、関西では貴重なアイスクライミングエリア。旬の時期は短いが、しっかり氷結したときのスケールやルートのバリエーションはなかなかのものだ。
一番メインとなるのが、シェークスピア劇場とも呼ばれる地獄谷右股のエリア。30mクラスのWI4~5の氷柱がずらっと4本並んだ様子は壮観だ。アイス初めてのスタッフも連れて、年中行事となっているこのエリアを今年も訪れてみた。
■アクティビティ日:2018年1月27日(土)
※このエリアへのアプローチの際に、私有地を通過します。禁止場所でのテント泊やごみの投棄などは一般的な登山マナーですが、本エリアを楽しむにあたっては特にご注意ください。また、迷惑駐車とならないように駐車場所にもご注意ください。
この1週間ほどはかなり気温が低い状態が続いているが、その前の週の暖気でかなり氷柱が落ちたとも聞いた。とりあえずは現地まで行ってみないことには状態はわからない。
エリアへのアプローチは、最近は氷瀑見物の登山者もかなり入るようになってよく歩かれているが、危険個所も多く気は抜けない。
このあたりにしては積雪量が多く、ラッセルとなる。先行1パーティ入っているようで、トレースをありがたく利用させていただいた。先行パーティは最後は別の方面に向かったようで、最後は腰ラッセルをこなしながら2時間半ほどのアプローチで到着した。最近、人気も高まっていると聞くが、幸い一番乗りだ。
気温がかなり低いおかげか、ハング下も水垂れ少なく快適。
「シェークスピア劇場」と呼ばれるこのエリア。シェークスピアの戯曲にちなんだ、マクベス、リア王、ハムレットと名付けられた3本の氷柱と、少し離れてアウトサイダーという氷柱が並ぶ。
リードしてほかのメンバーにはトップロープで登ってもらうことにして、まずはハムレットにとりつく。
氷の状態は良かったが、やはり一週間前の暖気で結構落ちたのだろう、氷自体はやせていて、リア王のつららも下までは届いていなかった。若干、いつもより傾斜も強く感じた。
あとはトップロープで各々遊ぶ。
その次はどうしようかと周りを見ると、いつもは水が流れまくりで一度も触ったことがなかったマクベスが、いつになくいい状態に見えたので、登ってみることにする。
出だし、傾斜は強いが、板状の氷が重なったような形状で、アックスをひっかけやすくスタンスも豊富でまずまず登りやすい。
ただ、もろい氷を落としながらのクライミングとなり、スクリューセット場所も気を使った。
かろうじてつながってるだけの上部のつららにはさすがに手は出さず、立ち木で終了点としてトップロープで遊ぶ。
初めてのスタッフにも満足してもらえたようだ。
登攀用のグローブは操作性を考えてシングルタイプのものが選ばれることが多いが、乾かしやすさなど、山での使用を考えたとき、ダブルタイプのグローブの便利さもまた捨てがたい。
エバーブレスアルパイングローブはダブルタイプの中ではかなり操作性に優れ、シビアな状態でのスクリューセットやロープ操作も問題なかった。フラッドラッシュの表地を持つインナーグローブもアプローチなどでは便利だ。