DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

クライミングとスキーを組み合わせて、複数日で継続する山行をしてみたい。 と、目をつけていたのが魅力的な雪稜とスキールートを無理なくつなぐことができるGWの白馬三山エリア。
しかし、ふたを開けてみると予定していた5月3日~5日の天気予報が芳しくない。とはいえ、地図と天気予報をにらみながら荒天をうまくやり過ごせる算段はできたので、白馬主稜と白馬鑓ヶ岳のクライミングをスキーでつなぐ計画で、入山した。

■コース日程:
5/3:猿倉荘(7:10)-白馬尻(8:50)-三号雪渓合流点(10:10)-白馬主稜2400m付近(12:15)-白馬岳山頂(15:30)-清水谷源頭(17:50)-白馬鑓北西2377m台地(18:30)
5/4:白馬鑓北西2377m台地(11:30)-白馬鑓ヶ岳南方のコル(14:20)-白馬鑓温泉(15:45)
5/5:白馬鑓温泉(8:30)-小日向山のコル(10:00)-猿倉(11:20)

初日は、猿倉から白馬主稜を登り、西面清水谷側に滑り込んで高度を下げた安全な場所で3日夜から4日朝にかけての暴風雨をやり過ごす計画だ。
夕方遅くなると、相当に風が強くなりそうなので、余裕を持った時間に山頂に抜けなくてはならない。
前夜発の寝不足で出発が7時と遅れたのと、遠望した主稜下部がヤブヤブのため、できるだけ雪をつなげそうな三号雪渓から主稜に詰め上がるルートを試みることにした。

さすが大雪渓は人がたくさん。

1850m付近から右に派生する三号雪渓に入る。
こちらに入っていくのは僕らだけだ。

雪渓上部に差し掛かると、自然落石などが頻発し始めた。あまり長居したくない状況。右手の安定してそうな適当なルンゼを選んで主稜稜線を目指す。

三号雪渓上部は、なかなかスリリングな雪壁登攀。

きれいに雪をつなげて主稜上の2400m地点に出ることができた。3号雪渓からのルートは、雪が少ない今年のような状況でも藪こぎがなく、トレースも全くないのでお勧めだ。

いくつもの雪壁を越えていく。
主稜上はトレースもしっかりしていて難しいところはなかったが、気を抜けるところもない。クライミング+スキー+3日間の泊まり装備を背負っての登攀はかなり修行系。

こんな天気予報だからだろうか。主稜上はほとんど人がおらず、他には先行パーティの3人のみ。
どんどん風が強まってきていて、主稜上でのテント泊は避けたい状況だったので、渋滞がなかったのは幸いだった。2峰を越えて最後の雪壁へ。

名物の最後の雪壁もロープは不要な程度。

15:30、山頂到着。稜線上は、すでに相当な風になっていた。
白馬主稜、大クラシックではあるが、長さといいロケーションといい一級の雪稜ルートだった。トレースがない時に行ったら、かなり登りごたえがあるだろうな。

夜に予想される強い南風と暴風雨からの安全地帯と目星をつけた白馬鑓北西面側の2377m台地を目指し、西面・清水谷に滑り込む。
清水谷上部はめちゃくちゃいい斜面だ。

調子に乗ってあまり地図を見ぬまま滑り込んだ小さな谷がゴルジュで滝も出ていて、ハマりかけた。

今回は、ロープもあり、ハーネスもつけているので懸垂で無事脱出。すぐに清水谷本流に合流する小さな沢だと思い込んで、慎重さに欠けた行動をしてしまった。反省。

たどり着いた2377m台地は予想通り良い場所だった。白馬西面側のベースキャンプとして、かなりお勧めだ。
雨に加えて、風がかなり雪をとかすことが予想され、ブロックを厚めに積み、スノーバーなども使って強固にカミナドームを設営。夜の暴風雨も問題なくやり過ごすことができた。

5月4日。朝のうちに雨はやんだが、相変わらず強風の予報だったのでこの日は東面側への移動日と割り切って、のんびり出発。
白馬鑓西面の尾根上にまず上る。

ユルい行程のつもりだったが、雪が少なくて、スキーを脱いだり履いたりトラバースにかなり手こずる。

稜線近くでは引きずり倒されるほどの強烈な西風だ。さっさと風裏の東面側に逃げ込むと、一気に穏やかになり鑓温泉に向けてご褒美の滑走。
こんな時期にもかかわらず、ノートラックの斜面にシュプールを描く快感。
白馬鑓温泉まで、快適な滑走をすることができた。

さて翌5日どうするか。
白馬鑓南稜か、中央ルンゼを登る予定だったが、目の前に見えている南稜はすでにヤブヤブ。じゃあ中央ルンゼかと考えたが、天気予報では翌日も風速30m近い暴風との予報。おまけに、夜になって雪まで降り出して、あっさりあきらめは付き、5日はさっさと下山することに決定。

鑓温泉からの下りも、やや溝があるものの十分快適。

小日向山のコル付近に来ると、これまでと打って変わって一気に人が増え、たくさんのテントでにぎわっていた。

ギリギリまで雪をつないで猿倉へ。
結局、クライミングは1本しかできなかったが、スキーの機動力を生かして滑りも堪能でき、何より微妙な天気のスキをついて腹いっぱい遊べたので満足な山行となった。

 

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