年末山行は、甲斐駒ヶ岳・黄蓮谷右股へ。
大クラシックルートながら、以前来た時に不覚にも道具のトラブルで谷にも入れずに敗退している苦い記憶のある谷でもある。それ以来の再訪だ。
メンバーの一人が左股を登ったことがあったので、今回は右股を選択。
技術的にはアルパインアイス入門で易しいが、山頂までダイレクトに突き上げる充実感はなかなかのものだ。
■アクティビティ日:2018/12/28-30
強烈寒波襲来のタイミングと重なったが、こんな時の南アルプスエリアは風に注意が必要なもののそれ程天気は悪くないものだ。登山口では、青空も見えていた。登り始めは全く雪がないが、刃渡りの手前辺りからちらほらと雪がつき始める。
強い風の中で苦労しながら、黒戸尾根の5合目の小屋跡にテントを設営。天気のせいだろうか、少し下の鞍部にテントがひと張あるだけで、あとは自分たちのテントだけ。
明日の渋滞の心配はないだろう。
2日目。
暗い中ヘッドランプをつけて黄蓮谷に向かって下降開始。
谷に降りて最初の小滝は、水が流れていてちょっと焦るが、左岸から巻いて少し歩くと坊主の滝50mが登場。これなら氷結は問題なさそうだ。
60mダブルロープで登攀開始。WI4くらいのラインを快適に登る。下から見るとそれほど大きく見えないので、ワンピッチで行けるか?くらいに思っていたが、強傾斜部分を登りきると、ナメ滝がまだまだ続いていて全然足りない。思った以上に大きな滝だ。
坊主の滝を登って少し歩くと、二股だ。右股はゴルジュ状だが、傾斜はない。
氷の廊下のような谷を2~30分登ると、奥千丈滝と思われる滝に到着。出だし傾斜があるので、ロープを出して越えたが、その上はナメ滝と雪面のミックスのような快適な氷の回廊でロープは不要だった。200mという話だが、どこまでが奥千丈滝滝なのか、イマイチはっきりしない。
奥千丈滝を越えると、ほとんどラッセル勝負なのだが、これが実に長い!
トポには2,3個滝が書かれていたが、半ば雪に埋まってどれがどれなのか判然とせず、ひたすらラッセル、時々小滝という変化の少ない登りがひたすら続く。
3時間ほど登って、ようやく大きな岩壁とそこにかかる滝が見えてきた。奥の滝だろうか。ただ、奥の滝はほとんど岩壁にかかるベルグラで状態は良くなさそう。左手のルンゼから巻いて越えてしまった。
奥の滝を越えて右手に出てくる岩壁を回り込んで尾根に上がって山頂に詰めあがることにしたが、この尾根、ハイ松を踏み抜きながらのラッセルが続く上に、時々結構きわどい箇所も出てくる。雪稜クライミングを最後にもう一本やったような気分で全行程の中でここが一番しんどかった。尾根に上がる判断が早すぎたかもしれない。
※後日、現地に詳しいガイドの方と話をしたが、やはりできるだけ沢をそのまま詰めるのが正解のようだ。近年刊行されたガイドブックには尾根に上がるように書かれているので、ご注意されたい。
ギリギリ明るいうちに山頂到着!強烈な風から逃げるように、そそくさと下山した。
登攀系の雪山登山ならエバーブレス®アクロが最適だ。雪山でのあらゆる状況に対応する安心のプロテクション性能と、登攀動作を妨げない運動性能を兼ね備えている。黄蓮谷の中ではずっと着用しっぱなしだったが、ストレスを感じることはなかった。
ストップアンドゴーの多い今回のような山行に使うミッドレイヤーは高い保温性を備えながら、抜群の汗処理性能を備えたドラウト®ポリゴンシリーズがおススメ。登攀動作のしやすさを考慮して腕や脇部分に中綿のないドラウト®ポリゴン3アッセントジャケットを選択したが、より保温性を求めるならば、フーディやジャケットタイプでも良いだろう。