WEB STORE

まだ軽くなる。テント泊縦走登山の装備のさらなる軽量化術

テント泊の縦走登山は少しでも荷物を軽くして快適に歩きたいものです。大きく軽量化しやすいアイテムは、バックパックやテントなどのギア。さらなる軽量化を図るには、ウエアに着目しましょう。ひとつひとつの重量は大きくありませんが、塵も積もれば山となる軽量化術をご紹介します!

目次

標準的なテント泊縦走登山の装備はだいたい10~15kg

テント泊の縦走登山は、まさに登山の醍醐味です。

衣食住すべてをバックパックに詰め、爽快な稜線を山から山へつなぐ。夕焼けのなか晩ご飯に舌鼓を打ち、朝日と共に行動を開始。時間帯によって変わる気温に対応し、急変する天候にも対処。樹林帯から岩稜、クサリ場や岩場と変化するシーンには歩行技術を駆使する。

テント泊の縦走登山は、これまで培ってきた技術や知識を駆使しながら、自分のペースで山を遊ぶことができます。

自由なテント泊だからこそ、必要な装備も多くなり、背負うバックパックは重くなります。テントや寝袋などのギア、雨具や着替えなどのウエア、火器やコッヘルなどの調理器具、食糧や水、救急キットや日用品など、重量は総じて10~15kgほどにもなります。

必要な装備。でも重すぎると山岳リスクにも

日常生活で10kg以上を背負うことはほとんどありません。お米10kgですら重たく感じますが、縦走登山ではその重さ以上のバックパックを背負うことになります。

背負い慣れていない重たいバックパックは、足を疲れさせて転倒を誘発し、体を引っ張って岩稜やクサリ場での滑落リスクを高めます。

なので、装備の軽量化は、安全登山につながります。

軽量化のセオリーは、いま持っている装備を、軽いアイテムに「置き換えること」です。水や食糧は削れませんが、テントや寝袋などのギアは軽い装備に買い替えることができます。

それでは、軽い装備にひと通り「置き換えた」あとには、どのような軽量化ができるのでしょうか。

ファイントラックきっての遊びの達人、企画開発課の相川の軽量化術を聞きました。

ウェアでできる「削る」軽量化術

相川は、数々のアドベンチャーレースに参戦したのち、沢登りやバックカントリースキーの世界に没頭。

縦走登山はもちろんのこと、台湾の未踏の沢に分け入ったり、積雪の知床をスキー縦走したりと、様々なフィールドでテントを背負って遊んでいます。

ひと通りギアを軽量化したあとに軽量化のターゲットになるのがウエアです。「着替え」「保温着」「レインウエア」など、テント泊登山の装備のなかでウエアが占める重量は少なくありません。

ウエアは「軽いものに置き換える」軽量化ではなく、「量を削る」ことで軽量化します。

ポイントは3つ。

POINT

  1. 汗と上手に付き合う
  2. 同じ機能はひとつにまとめる
  3. 使い方の常識を疑う

シビアな遊びのなかで洗練されたという相川の「量を削る」軽量化をみていきましょう。

汗と上手に付き合うことが、ウエア軽量化の第一歩

汗をかく登山では、「着替え」は欠かせない装備。2日も着続けているとニオイやべたつきが気になり、着替えたくなるものです。

グループやカップルで登っていいたり、登山者が多い人気のルートだったりすると、なおさら周りの視線は気になり、1日1枚「着替え」を持っていく登山者も少なくありません。

1枚1枚の重量は大したことなくても、数日分ともなるとその「着替え」が装備の重量を増します。着替えたあとのウエアも、汗や雨で湿ったり濡れていたりすると、水分を含んだ分が余計な重量増となってしまいます。

荷物を軽くしたくても、ニオイやべたつきが気になってなかなか削れないウエア。「着替え」の量を削るにはちょっとしたコツがあります。

それは、汗と上手に付き合うこと。かいた汗をそのままにしておくと、ニオイやべたつきの原因になります。

汗はすばやく肌から離して、スムーズに乾かすことが大切です。ベースレイヤーの下に、「肌をドライにキープ」する撥水性のあるアンダーウエアをレイヤリングすると、汗による不快感を軽減できます。

肌に接している撥水性のあるアンダーウエアはさらっとしているため、べたつきなどが気にならなくなり、「着替え」の必要性はお風呂に入ってさっぱりした下山後だけという最低限に削ることができます。

同じ機能はひとつにまとめる

一般的なテント泊の装備に、休憩中に着用するダウンジャケットなどの「防寒着」と、早朝行動に備えたフリースジャケットなどの「行動保温着」がリストアップされているのをよく見ます。

異なるシーンで使い分けられるウエアですが、共通する機能は「保温」。同じ機能ならば、ひとつにまとめることで「量を削る」ことができます。

ひとつにまとめるには、それぞれのウエアの特長を理解しましょう。

「防寒着」に使われるダウンジャケットは、軽量コンパクトで高い保温力がありますが、濡れに弱いのが弱点。

「行動保温着」に使われるフリースジャケットは、通気性で汗が抜けやすく濡れてもロフトを維持しますが、風が抜けるので「防寒着」としては使いにくいのが弱点。

「防寒着」と「行動保温着」をひとつにまとめるには、5つの機能を兼ね備えたウエアが必要です。

POINT

  1. 軽量コンパクト
  2. 停滞中でも暖かい保温力
  3. 行動中にも着用できる通気性
  4. かいた汗を処理できる速乾性
  5. 濡れても維持するロフト

行動中にも着用できて、停滞中には防寒もできる保温着があれば、2枚を1枚に削る軽量化ができます。

使い方の常識を疑う

「レインウエア」は雨が降ってきたとき用に、「ウィンドシェル」は強い風を防ぐため。

それぞれの用途に合わせた正しい使い方ですが、本当に必要でしょうか?

防水透湿メンブレンが入った「レインウエア」は防風性を備えているため、「ウィンドシェル」と同じ使い方ができます。

しかし、「レインウエア」はシャカシャカの音が気になったり、ダボっとしていて動きづらかったりと、雨以外はなるべく着たくないウエア。

「レインウエア」に、しなやかな着心地やストレッチ性があれば、音や運動性を気にせず雨以外のシーンでも積極的に着用できます。

高い透湿性と蒸れを排出するベンチレーションがあれば、吹きすさぶ風は避けながらも蒸れによるオーバーヒートを防ぎ、安全に行動し続けられます。

使い方に囚われず、機能をみることで1枚のウエアの使用シーンが広がり、シーン別に合わせて備えるウエアを削ることができます。

許せる範囲次第の軽量化

以上が相川のウエアを削る軽量化術ですが、軽量化とは、快適さの代償です。どこまでそれを許容できるかの線引きは人それぞれのため、少しずつ実践してみてください。

最後に、遊びに没頭するファイントラックスタッフたちが実践する一歩踏み込んだ軽量化術をご紹介します。

POINT

  1. 調理しない。アルファ米や乾燥野菜などのお湯で戻すだけの食事にする
  2. バーナーなどの火器類を削って、アルファ米は水で戻して食べる
  3. 食器は持って行かず、アルファ米の袋から直食い
  4. コップも持って行かず、アルファ米の袋を再利用
  5. 着替えをいっさい持っていかない
  6. 寝るときはありったけのウエア着てシュラフカバーだけ

テント泊装備を軽量化して、安全で快適な縦走登山を

荷物が軽いと、体の負担も軽くなり、より安全で快適に歩けます。登山の装備が軽くなった分は、山岳風景を収めるカメラ、山頂で挽いて入れるコーヒーセット、頑張って歩いた祝杯用のお酒など、山でのお楽しみアイテムをパッキングすることもできます。

ただし、救急キットやツエルトなどの必須アイテムは必ず装備しましょう。また、必要以上に装備を軽量化することは、不快さや山岳リスクを高めることにもなるため、軽量化する前に十分に検討してください。

自分に合った適切な軽量化で、安全で快適な縦走登山をお楽しみください!

汗と上手く付き合う
ドライレイヤー®ベーシック

ドライレイヤー®の撥水加工は汗や水を寄せ付けず、ニオイやべたつきの発生を抑えることができます。行動中も汗冷えの発生を軽減できテント泊には必ず持っていってほしいウエアです。

同じ機能をまとめられる
ポリゴンUL

中綿にfinetrack独自のシート状立体保温素材「ファインポリゴン®」を採用した中間保温着です。水分を保水しづらく、乾きの早いファインポリゴン®は休憩中はもちろん、行動中の着用もでき一枚二役にぴったり。テント泊にはぜひ持って行ってもらいたいアイテムです。

レインウエアの常識を覆す
エバーブレス®フォトン

独自の防水透湿素材「エバーブレス®」を使ったレインウエア。長く続く透湿性と高いストレッチ性に加え、柔らかな生地が晴れの日でも着たくなる着心地。肌当たりのいいニットの裏地は汗をかいてもサラリと快適です。レインウエアならマルチに活躍するエバーブレスが断然おすすめ!

友達にも教えてあげよう!

関連記事